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犬や猫は、互いのニオイを嗅ぎ合うことで相手を知る。一説によると、彼らは肛門腺の分泌液から、相手の性別・強さ・性格・現在の気分さえも知ることができるようだ。しかし私たち人間も、握手のあとに手のニオイを嗅ぐことで、それと同様の行為を無意識のうちに試みているという、驚くべき研究結果が発表された。詳細についてお伝えしよう。
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■握手の後は、必ずクンクン
今回の研究に取り組んだのは、イスラエルの「ワイツマン科学研究所」に所属するノーム・ソベル博士のグループだ。話題の論文は、今月3日にオンライン学術誌『eLIFE』上で発表された。それによると、人間は握手のあとで、必ずといってよいほど無意識のうちに手のニオイを嗅ぐ傾向にあることが明らかになったという。にわかには信じがたい話であるが、研究グループは153人の被験者から得られたデータによってこれを立証した。
実験室で、1人座って待つように指示された被験者。そこへ研究者が入って来て、一部の被験者とは握手を交わしてから立ち去る――。その間、個々の被験者たちが見せる一挙一動は、すべてカメラに撮影されている。
そして得られた映像を分析した結果、研究者と握手を交わした被験者は、握手しなかった被験者と比べて、その後、無意識のうちに鼻の近くに手を据えてニオイを嗅ぐ回数が明らかに高まったのだ。手を鼻の近くに持っていく頻度と、ニオイを嗅いでいる時間は、平均して通常時の2倍近くにもなったという。
ちなみにこの実験では、鼻を掻いているのか、それともニオイを嗅いでいるのか明確に区別するため、被験者の鼻孔を通る気流が常に計測された。さらに、普段の被験者たちが無意識のうちに鼻のそばに手を据える頻度や、ニオイを嗅いでいる時間についても、あらかじめ計測されている。
■握手していない方の手も……!?
実験では、他にも不思議な事実が判明した。まず、握手を交わした被験者は、総じて相手が部屋を立ち去ってから、鼻の近くに手を据えてニオイを嗅いでいたという。
さらに、握手した相手の性別によって、ニオイの嗅ぎ方に違いが現れていた。同性と握手した被験者は、異性と握手した被験者に比べて、握手した方の手のニオイを嗅ごうとする傾向が2倍に高まった。しかし、異性と握手した被験者は、握手していない方の手を嗅ごうとする傾向が2倍になったというのだ。
それらに加えて、市販の香水がついた手と握手した後のほうが、性ホルモン由来の香料をつけた手と握手した後よりも、被験者は頻繁にニオイを嗅ごうとしたようだ。
■握手で相手の情報を集めている!!
以上のような実験結果を踏まえて研究チームは、人間が握手によって化学的なシグナル(chemosignals)、すなわちフェロモンを送り合い、相手についての情報を得ようとしているのではないかと指摘している。そう、握手のあとに手を鼻へと近づけ、無意識にニオイを嗅いでしまうことは、出会った相手を理解しようとする行為であったというわけだ。そして異性と握手したとき、握手していない方の手を嗅ぐのは、その出会いに対する自分自身の反応を調べている可能性もあるようだ。
「人々は、絶えず手を顔のそばに据えてニオイを嗅いでいます。そして握手の後には、この習性に変化が見られます。これは握手という行為が、まさにフェロモンを送り合う行為であったことを示しています」
「フェロモンは異性に向けて発するもののように思われがちですが、それは間違いです」
「人間の行動を(影で)操る存在、それがフェロモンです。映像を見ると、人間がネズミのように自分の匂いを嗅いでいることに気づきますが、これは考えずにしていることなのです」
ソベル博士はこのように語り、研究の成果を強調する。さて、握手の起源については「相手に武器を隠し持っていないことを示すため」だったとする説も唱えられているが、今回の研究結果が正しいとすれば、これは人間にとってより本能的な行為だったということになるだろう。私たちの振る舞いには、まだまだ誰も気づいていない知られざる習性が隠れているのだろうか。