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映画『八つ墓村』(77)、『復讐するは我にあり』(79)、『蒲田行進曲』(82)などの名作を高品質の映像でソフト化する「あの頃映画the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション」シリーズが人気だ。その発売記念としてこの程行われた『八つ墓村』上映イベントに足を運んだのが、映画『らせん』で貞子を演じた事でも知られる女優の佐伯日菜子だ。
【関連】佐伯日菜子<インタビュー写真>
佐伯といえば、17歳の時に映画『毎日が夏休み』(94)で爽やかに女優デビューした後、テレビドラマ『EKO EKO AZARAK エコエコアザラク』(97)でダークヒロインの黒井ミサを演じ、映画『らせん』(98)では貞子にもなった。その後はホラー漫画家・伊藤潤二の原作を見事に映画化した『うずまき』(00)、ホラー脚本家・小中千昭の筆が冴える『蛇女』(00)とホラー街道を一直線。Jホラー・ブームを“ホラー・クイーン”として牽引した。
ところが当の本人は「昔は嫌でしたね。一時期は100本の仕事のオファー中、100本がホラーという事もありましたから」と時代の渦に翻弄された苦悩を振り返る。「当時は『どうして怖い役しか来ないのだろうか?』と悩んだし『私の顔が怖いからホラーしか来ない』と思って、自分の顔が嫌いになりました。色々な役をやっていきたいと思っていたから『また怖がらせるの? 私はお化け屋敷のお化け?』なんて弱音を吐いていましたね」とイメージが固定化する恐怖を味わうこともあった。
しかし海外での反響が、そんな佐伯の凍った心を溶かし始める。「香港に行った時に何気なく市場で買い物をしたら、翌日の新聞の一面に写真付きで『貞子、買い物上手』と載るくらい、私が演じた貞子に対する熱狂があった」と役柄に対する観客の愛を肌で感じるように。さらに「ジョビジョバのマギーさんから『佐伯にホラーは横綱相撲だよ』と言われたことがあって、その時に『だったらいい相撲を取ってやる!』と嬉しくなりました」と表現者としての自信も取り戻した。
今では2人の子供も10代になり、私生活でも余裕が生まれた。昨年には女優デビュー20周年を迎えた。「今はまさに“糸の切れた凧”状態。内容のいいホラー作品のお話が来たら、楽しんでやれるはず」と吹っ切れた表情で「これだけの長い年月、女優を続けられたことが嬉しい。映画でデビューしたので、どこか映画に育てられた部分もあって、ここ数年はもっともっと色々な役柄で映画に出演したいという気持ちが強くなってきた」と21年目を貪欲に走る構え。
今後の抱負として「コメディをやってみたい」と口にする佐伯だが「実際にあった事件モノもいいですね。実際の事件を調べる事も好きだし、裁判員にも選ばれたい。生きていれば人間色々な事があるという事をここ数年で学んだし、そういった人間的な深みを役者として出していければ」とシリアスな人間ドラマにも自信を覗かせる。だからこそ『八つ墓村』にも一言ある。「残酷な描写もあって怖いけれど、子供時代にはわからなかった人間の業や女の執念深さも読み取ることが出来て、新たな発見が沢山ありました」とブルーレイ化を大歓迎している。