社会そのほか速
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韓国といえば、“ドラマ帝国”といわれているほど、朝から晩までドラマばかり放送されていることで知られる国。それだけドラマに対する需要も高く、長年にわたって子どもからお年寄りまで、幅広く視聴されてきた。その証拠に、2013年のドラマ平均視聴率トップ15を見ると、すべてが15%以上を叩き出している。しかしながら、15年は2月までに放送を終了したドラマの中で15%を超えたものは、『家族なのにどうして?』(14年KBS)、『清潭洞スキャンダル』(14年SBS)の2作品のみだ。
韓ドラ界に、いったい何が起きているのだろうか? 日本と同じくネットの普及による若者の“テレビ離れ”も原因の一つだが、特筆したいのは「放送局が増えたこと」だ。
韓国では、主要民放局がKBS、MBC、SBS、EBSの4社しかないため、ケーブルテレビや衛星放送などの有料放送局の数が飛躍的に伸びていき、今ではその数が50前後にも上る。またここ数年で、ビデオ・オンデマンドやダウンロードなどのサービスが利用可能なIPTVの普及率も急激に上がっていった。その背景には、韓国政府主導でIPTV促進政策を進め、教育や保健医療等の公共の分野などにおいても、サービスの導入を支援してきたため。そして今では、ケーブルテレビや衛星放送、IPTVなどの有料放送加入世帯数は90%に達しており、国民の約9割が有料放送を視聴しているのだ。こういった状況から、主要民放局以外の有料放送局(tvN、JTBC、TV朝鮮など)でドラマが放送されるようになり、視聴率が四散したといえる。
放送局が増えたことで、キャスティングの分散化も起こっている。民放の放送局が主だった2010年頃までは、今では考えられない豪華キャスティングのドラマが多数存在した。『華麗なる遺産』(09年SBS)や『成均館スキャンダル』(10年KBS)などが代表的な作品だ。これらのドラマは、日本映画への進出も果たしたハン・ヒョジュ、最新映画の日本公開も決まったイ・スンギとムン・チェウォン、JYJのユチョン、優れたルックスと演技力を持つソン・ジュンギ、『JIN‐仁‐』のリメイク版でヒロインを演じたパク・ミニョンなど、今では主役級のスターが4人以上も出演しているのだ。前述の通り、昨今放送局が増え始めたことから、各局で“キャスティング競争”が激化。そのため一昔前のように、主役級が複数キャスティングされるドラマが減り、見たい俳優が分散化されたことで、視聴者も分かれるようになったのだ。
『星から来たあなた』(14年SBS)や『奇皇后』(同MBC)などの例外はあるにせよ、日本と違って、ドラマの視聴率低下が構造化しつつある韓国。日本の韓流ブームにも頼れない現状は、韓国ドラマ業界にとって冬の時代といわざるを得ない。
(取材・文=平松相善)