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「妊娠サポートアプリ」Glow

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「妊娠サポートアプリ」Glow

 

男性2人で創業

  • Glowアプリのスタートアップ画面
  •   Glow(グロウ)というモバイルアプリがあります。

      創業者はマックス・レヴチン(♂)とケビン・ホウ(♂)。マックス・レヴチンは、1998年にPaypal社を創業、上場させたのちにeBayに15億ドルで売却、さらに2004年にSlide社を創業しGoogleに1億8200万ドルで売却したシリアルアントレプレナーです。

      創業者の名前の後に(♂)マークが付いているのは、Glowが「妊娠をサポートするアプリ」だから。なんだかとても女性的な内容なのに、むさ苦しい男性2人チームではじめられたGlow。ではありますが、よく考えると男女が両方いてはじめて実現するできごとですので、男性が創業者の方が「妊娠・出産は女性の問題ではなくカップルの問題」という事実の社会啓蒙(けいもう)のためにはよさそう。

     

    「排卵日です」というメッセージも

      Glowアプリには男性バージョンと女性バージョンがあり、基礎体温や月経の期間などを記録、それに基づき妊娠しやすい日を割り出せるようになっています。さらに、単なる記録機能だけでなく、いろいろなメッセージが配信されるようにもなっています。「ビタミン摂取せよ」「排卵日です」などなど。将来的には「カップルで素敵なディナーに行きましょう」といった軽やかな(おせっかいな)メッセージも出す計画とのこと。

      なお、Glowでは、上述の「基本データ」だけでなく、性交渉を行った日、オーガズムの有無など、多角的なデータ(!)を記録でき、そうしたユーザデータを匿名化して収集。「どうしたら妊娠しやすいのか」という情報の精度を、現在の医学でわかっている以上に高めて行く、という野望を持っています

     

    目玉は「不妊治療の互助会」

      しかし、今のところ、目玉は「不妊治療保険」的なGlow Firstというサービス。Glowアプリの利用は無料でできますが、Glow Firstは有料で、月々50ドルの会費を支払い、妊娠したらその時点で終了、10ヵ月たっても妊娠しなかったカップルはその時点で全員から集まった会費を分け合う、という「不妊治療の互助会」的サービスです。

      アメリカの不妊治療は非常に高価で、体外受精ともなれば1回当たり1万~4万ドル(100万~400万円)もするのにもかかわらず、成功率は全年齢層平均で3割未満しかないため、何度もトライする人も多く、痛い出費です。Glow Firstはそうした人たちのニーズを突いたサービスと言えましょう。Glow以外にも妊娠のための記録アプリは多数ありますが、Glow Firstを取り入れたことでGlowは他とは一線を画した差別化を実現しました。結果、8月にローンチしたばかりにもかかわらず、600万ドルの増資に成功しています。

     

    センシティブな情報収集がどこまで受け入れられるか

      ただ、匿名とはいえセンシティブな情報を吸い上げられるアプリでもあり、どれくらい市場で受け入れられるのか、まだまだ未知数。ちなみに、「子供をはぐくむアプリ」だから「育てる」という意味のグロウなのね、と思った方もいるかもしれませんが、それはgrow。glowは「輝く」という意味なのであります。

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