社会そのほか速
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大学を卒業するには授業を受けて必要な単位数を取得しなければならないが、早稲田大学(東京都新宿区)では学んでも単位がもらえない課外授業が人気だ。
社会で必要になる問題解決力や論理的思考力を身につけ、視野を広げることを狙う「マイビジョンプログラム」。全学部の学生らを対象に、2010年度にスタートした。今年度は同大グローバルエデュケーションセンターが企業経営や商品の販売戦略などを考える7講座を開いており、ビジネスの最前線で活躍する経営者らが講師を務める。
「企業と協力し、スーパーの空きスペースに住民交流の場を作ります」
「進路に悩む学生がいろいろな職業の人に会えるゲーム事業を提案します」
12月上旬の夜、同大の教室で、学生でつくる3チームが、それぞれ考えた事業案を発表していた。同プログラムの一つで、収益を上げながら社会問題の解決を目指す「ソーシャルビジネス」に関する講座の最終授業だ。
今年度初めて開講された同講座には、法、教育など7学部の1~4年生14人と大学院生2人が参加した。10月下旬から3時間の授業が7回行われ、講師の事業コンサルタント、村田博信さん(39)が課題の見つけ方や図解を用いた分析方法などを指導。学生たちは5、6人のチームに分かれ、事業案を検討した。
人間科学部4年長谷川朋弥さん(22)らのチームは当初から、「日本人は人生を楽しんでいない」「ワーク・ライフ・バランスがとれていない」などと活発に意見を交わしたが、新事業の内容がなかなか決まらなかった。ようやく「夢づくりのお手伝い」にまとまったが、5回目の授業で村田さんから「当初の問題意識からずれている」と再考を促された。
全員で意見を出し合い、多忙なビジネスマンに代わって同僚らと交渉し、勤務時間を減らす事業案を練り上げた。発表では、内容を分かりやすく伝えようと、メンバーによる寸劇を交え、教室を笑いで包んだ。
「課題の見つけ方など、この授業で培った力を将来に生かしたい」と長谷川さん。来春、経理コンサルティング会社に就職する予定だ。同じチームの社会科学部4年林拓見さん(23)は「いろいろな学部の人と議論できて新鮮だった」と満足そうだった。
同プログラムは単位にならない上、受講料も1講座につき1万3000~2万3000円かかる。それでも、今年度は、昨年度より47人多い計168人が受講。一部の講座は定員を上回り、抽選になった。
同センター所長の田中愛治・政治経済学術院教授(63)は「多様な学生が集まり、学外の講師らから通常の授業とは違うことを学べる。受講生の満足度は高く、今後も教育の効果が上がるよう努めていきたい」と話す。意欲のある学生の力をさらに伸ばす場となっているようだ。(石塚公康)