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[4.5 J2第6節 大宮2-0熊本 NACK]
試合前日、初めて先発出場を言い渡された大宮アルディージャのMF大山啓輔は、寝つけなかったという。「寝不足でしたね。朝の8時に起きる予定が6時に目が覚めちゃって。怖い人に追い掛けられる夢を見ました」と苦笑する。自宅で寝ることを諦めた大山は、その後、クラブハウスに行き、ソファーでゆっくりと仮眠をとったという。
試合前のバスの中でも、チームメイトたちに「顔色が悪いぞ!」とイジられた大山だが、ピッチに立ってからは冷静だった。対面する熊本のキーマンであるDF片山奨典への対応が、この日の大山に課せられた役割の一つだ。ベンチの渋谷洋樹監督からは「リラックス! リラックス!」と声を掛けられていた。だが、大山は落ち着いていたと主張し、慌てているように見えた要因を分析する。
「守備の部分で、スイッチの入れどころが曖昧だったと思うんです。相手の左SBの選手(片山)がイヤな位置取りをしていて、そこにどうプレッシャーを掛けるか。一度、中のコースを切ってから、外に行かないといけなかったから、バタバタしているように見えたのだと思うんです。でも、あれをやらないと、簡単に(中にパスを)付けられて、前を向かれたシーンもあったので。まず中を切ったら、次は左足のクロスを上げさせないようにしていました」
守備で相手キーマンの動きに制限を掛けた大山は、攻撃面でも惜しい場面があった。後半20分、MF横山知伸とのパス交換からPA内で決定機を得たが、シュートはサイドネットへ。さらに同37分には右サイドを粘り強く突破し、クロスを「しっかり目が合っていた」というMF泉澤仁に送った。ここはコースに割って入ったFW清水慎太郎に当たる形になる。「もう少し、パスの強さでメッセージを込められたらよかった」とアシスト未遂に終わった場面を反省した大山は、「19歳なので。あまり(清水に)物は申さないです」と恐縮した。
初めてキックオフのホイッスルをピッチ内で聞いた大山は、試合終了のホイッスルもピッチで聞いた。「前の選手ですし、フルで使ってもらえると思っていませんでした。3人目が交代したときは『ああ、フル出場か。踏ん張ろう』と思いました」と驚いたことを明かす大山だが、終盤まで足を止めずにチームに貢献。「フル出場できたし、充実感はありますね」と充実の表情を見せる。
3試合ぶりに勝ち点3を挙げた大宮。エースFWムルジャの復活ゴールに加え、大山がフル出場して得た自信も今後の長いリーグ戦につながるはずだ。
(取材・文 河合拓)