練習試合（１７日、ヤクルト３－９巨人、神宮）水鉄砲が紙鉄砲に！　巨人・坂口真規内野手（２４）が１７日、ヤクルトとの練習試合（神宮）で五回に代打で出場し、同点２ランを放った。故障者続出で緊急昇格したラッキーボーイの一発で、不調の打線が１５安打９得点。「水鉄砲打線」と嘆いていた原辰徳監督（５６）は「『紙鉄砲』ぐらいになった。当たったら痛いぞ、というぐらいに」と独特の言い回しで上方修正した。試合は９－３で勝利した。

　無観客の左翼席に飛び込んだ打球が、脱・水鉄砲打線への号砲だった。１－３で迎えた五回二死二塁。代打・坂口が、同点２ランを放った。

　「まぐれです。ファームの試合にも出ていなかったので『（２軍で）使えないから（１軍に）行ってこい』ということだと思っていた」

　右足の張りで坂本が別メニューとなり、内野手が不足する中での緊急昇格だった。オープン戦は最近７試合で計１０得点。原監督が「水鉄砲打線」と嘆いた打線がこの一発を機につながり、１５安打９得点を呼び込んだ。

　右太ももの肉離れで離脱した大田と同じ１９９０年生まれ。智弁和歌山高時代に「東の大田（東海大相模高）、西の坂口」と呼ばれた大砲候補だが、左肩亜脱臼の影響で春季キャンプは２軍スタートだった。

　先月上旬には大田、橋本、笠原ら１軍メンバーと同期会を開催。笑顔の裏に隠した悔しさを、この日の一振りに変えた。

　「坂口が一発を打ってから、火がついた感じだった。小さな引き金を引いてくれたのかな、と思います」と指揮官。試合後の激励会では「きょうは『紙鉄砲』ぐらいになりました。当たったら痛いぞ、というぐらいになって段階を追いながら個の力、チーム力が上がってきている」と復調の手応えを口にした。

　滑り込みで開幕１軍に残るには２軍調整中の村田ら“敵”は多い。ただ、三塁は中井らが結果を出せず、チャンスはある。「できることをやっていきたい」と謙虚な坂口。苦しいチーム状況を変えるのは、坂口のような新しい力だ。