社会そのほか速
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FC東京は12日、明治安田生命J1リーグ1stステージ第5節で湘南と対戦し、1-0で勝利を収めた。首位の浦和が川崎と引き分けたため、2005年第4節以来、10年ぶりに首位に立った。試合は64分に武藤嘉紀がヘディングで今季4点目となる決勝ゴールを決めた。
日本中の注目を集めた男があらゆる雑音を自らのゴールでかき消した。
この一週間で日本を代表するストライカーに成長した武藤の周囲は一気に騒がしくなった。6日にプレミアリーグのチェルシーから正式オファーが届いていることを明かすと、翌日には報道陣が小平グランドに大挙押し寄せた。さらには日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が視察に訪れるなど、試合開始前から周囲の視線を一身に浴びていた。
前節同様、石川直宏と2トップを形成して臨んだ一戦。試合開始のホイッスルが鳴るとピッチの上には、泥臭く守備をして、快足を飛ばしてドリブルをする、いつもどおりの背番号「14」の姿があった。
「プレッシャーは掛かりますけど、自分が決めなくてもいいぐらいの気持ちでいた。自分が前で身体を張って、チームのために動いて、空いたところに誰かが決めてもいい」
53分には、左サイドの河野広貴からのクロスを森重真人が頭で落とし、武藤がシュートを放つ。このシュートはポストを叩くが、ボールが再び武藤の頭上にくると、ヘディングでゴールネットを揺らした。しかし、これはオフサイドの判定。白熱した一戦の均衡をなかなか破れない。
「今日も試合中にチームのために走って、身体を張っていれば、最後はいいボールがくると思っていた。そうしたら宏介くん(太田)からすばらしいボールがきた」
冷静に来るべき瞬間を待っていた。64分、右サイドでボールを受けると、中央やや左の河野に素早く展開。自らゴール前に侵入し、日本代表でもチームメイトの太田からのクロスに備えた。2人のDFの間を割って入るように、ボールを叩きつけ、ゴール左に押し込んだ。
試合後の武藤は、ハリルホジッチ監督の前での“御前弾”にも「代表は関係なく、FC東京のために攻守においてサボらずプレーすることができた。(代表のことは)まったく意識せずに、泥臭くプレーしました」と話した。日本代表監督の視察も、移籍報道も意に介さずという様子だった。
また、一方で移籍報道については「今、試合が終わって何も考えていないですし、特に結論も出していない。とにかく自分がどこに行けば成長できるかしっかりと見据えていきたいなと思います」と話した。…
【QPR 0-1 チェルシー プレミアリーグ第32節】
プレミアリーグ第32節が現地12日に開催され、チェルシーはQPRとの“ウェスト・ロンドン・ダービー”に臨んだ。
ダービーとはいえ、あまりに対照的な状況の両チーム。チェルシーは首位で、QPRは残留争い真っただ中の18位だ。
チェルシーは負傷したジエゴ・コスタに代わってドログバが今季4試合目の先発出場を果たし、鼻骨を骨折しているセスクも特注のフェイスガードを着用してスタメンに名を連ねている。
試合は立ち上がりから静かな締まりのない展開が続く。チェルシーの攻撃陣にはいつものような元気がなく、シュートチャンスも増えない。
さらにボールを持てばブーイング、ライン際ではすぐ横のQPRサポーターから激しい野次を浴びせられる特殊な環境での試合で、いつもとは違うプレッシャーに苦しむ。
守備陣はいつ戻りの集中力でQPRの攻撃を跳ね返し続けたが、チェルシーは前半2本しかシュートを打てず、スコアレスで折り返した。
後半に入っても相変わらず緩い空気のまま時間だけが進んでいくが、64分、QPRにビッグチャンスが訪れる。
右サイドからザモラがグラウンダーのボールをエリア内へ入れると、見事なターンでDFを制したフィリップスが反転しながらシュートを放つ。これは至近距離でクルトワにセーブされてしまうが、それまでで最もゴールに近づいたシーンだった。
81分、チェルシーはクアドラード、QPRはクラニチャルを投入してリズムを変えようと試みるが、それでも流れは変わらない。
しかし、最後は個の力が上回った。88分、QPRのGKグリーンのキックミスを拾ったアザールが左サイドで仕掛け、オスカルとのワンツーでエリア内に侵入すると、ラストパスをセスクがゴール左隅に流し込んだ。
勝利したものの不完全燃焼のチェルシーだが、次節以降は18日のマンチェスター・ユナイテッド戦、26日にアーセナル戦と上位陣との厳しい戦いが待っている。来週末までに本来の姿を取り戻せるか、モウリーニョ監督の手腕が問われる時だ。
【得点者】
88分 0-1 セスク(チェルシー)
「チームの助けに」横浜FMファビオが後半ATに劇的同点ボレー
[4.12 J1第1ステージ第5節 横浜FM1-1仙台 日産ス]
公式戦3連勝と好調の横浜F・マリノスを敗戦の危機から救ったのは、26歳のブラジル人だった。
決定機をつくりながらもゴールが遠く、敗色濃厚だった後半アディショナルタイム。仙台DFのクリアボールは、前線に上がっていたMFファビオの前にこぼれる。「しっかりと強く、ゴールに行くか、サポーターのほうに行くか、というぐらいの気持ちで蹴った」。浮き球をダイレクトでとらえると、再三好セーブを見せていたGK六反勇治も及ばず、仙台ゴールに突き刺さった。「いろんな要素が重なった失点」と残り数分で失った勝ち点3を、仙台のMF富田晋伍は悔やんだ。
後半途中からセンターバックに下がっていたファビオは、それまではボランチでプレーしていたが、自身のクリアミスから先制点を献上している。自陣深い位置でクリアを試みるも、目の前にいたMF梁勇基に当たり、ボールはFWウイルソンの元へ。そのままクロスを入れると、DF鎌田次郎のジャンピングボレーが味方ゴールを揺らした。
「常に試合に入るときにはチームの助けになろうと考えている。守りのほうもそうですし、チャンスがあれば何とかゴールを決めようという気持ちでやっていたのですが、あのプレーの後はその気持ちは増しました。もっと助けにならなければ……」
強い気持ちでプレーし、ミスを帳消しにしたファビオ。奇しくもこの試合で生まれた2ゴールとも、センターバックによる豪快なボレーシュートになった。
(取材・文 奥山典幸)
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