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コンビニエンスストア業界3位のファミリーマートと同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)が経営統合に向け協議していることが先週、明らかとなった。3月中の合意を目指す。
統合によりファミマとサークルKサンクスの店舗総数は1万7599店となり、セブン-イレブン・ジャパン(1万7277店、いずれも1月末時点の店舗数)を上回り、業界トップに立つ。全店売上高でファミマ・サークルKサンクス連合はセブンに1兆円近い差をつけられているが、業界2位のローソンを9000億円近く上回る。店舗数でトップ、売り上げで第2位の巨大グループが誕生することになる。
課題はサークルKサンクスの看板をどうするかだ。2010年にファミマがエーエム・ピーエム・ジャパンを吸収した時は、時間をかけてam/pmの看板をファミマに掛け替えた。もう一つの課題は、ユニーGHDの売り上げの8割を占めるスーパー事業をどうするかである。「岐阜に本社があり、中部地区で食品スーパーを展開しているバロー(10月からバローホールディングスに社名を変更)が投資ファンドと組んでユニーGHDのスーパー部門に買収を仕掛ける」(業界筋)という観測もある。食品スーパーとして業績好調で山梨県に初進出し、関東圏への進攻に意欲を見せているバローが「小が大を飲む」M&Aを仕掛ける可能性もある。
●注目集まるローソンの動き
ファミマ連合に売り上げ、店舗数で逆転されることになるローソンは14年12月、広島が地盤の中堅コンビニチェーンのポプラに出資した。ポプラの15年2月期の連結最終損益は20億6500万円の赤字で、14年同期も23億円の赤字であり2期連続の赤字となった。15年2月期は売り上げも13%減っている。
ポプラのメインバンクは広島銀行。三菱商事が60%の株式を握る三菱食品が実質4位の大株主のため、「三菱商事を仲介役にローソンがファミマ連合との売り上げの差を少しでも縮めるためにポプラ買収に動く」(業界筋)との見方も出ている。
業界5位のミニストップはスーパー大手イオン系のコンビニだが苦戦が続く。中堅で神奈川県が地盤のスリーエフは、15年2月期に赤字に転落し正念場が続いており、規模確保のため両社が統合に動くとの観測もある。「ファミマ連合の誕生により、コンビニ業界に玉突き再編が起こる可能性が高い」(アナリスト)。
●他社の草刈り場になったサークルKサンクス
サークルKサンクスが店舗競争力を失ったことから、11年以降、約490店がローソンやセブンに鞍替えした。サークルKサンクスは他社の草刈り場になったが、ファミマだけは手を出さなかった。「ファミマの上田準二社長(当時、現会長)が、サークルKサンクスの本体が欲しいという意向を持ち、サークルKサンクスをいたずらに刺激することを避けてきた」(ファミマ関係者)ためといわれている。
サークルKサンクスは、かつてファミマと合併寸前までいったが破談になった過去を持つ。その後、ファミマはサークルKサンクス獲得を決して諦めていなかった。昨年夏、ファミマがサークルKサンクスに対してアイスコーヒー用の氷を融通したことが評判になった。いまやコンビニの定番はレジ横の淹れたてコーヒーであり、夏のアイスコーヒーに欠かせないのがカップ入りの氷だ。氷を確保できなかったサークルKサンクスのために、ファミマが氷メーカーの製造ラインの一部を明け渡した。業界では「再編に向けエールを送った」と受け止められた。
●経営統合の予兆
ファミマとユニーGHD経営統合の橋渡し役となったのは伊藤忠商事。ユニーGHD株式2.9%を保有する第3位の大株主でファミマの親会社だ。伊藤忠が動けば、一気に再編の気運が高まるとみられていたが、ファミマとユニーGHDの首脳は近くトップ会談を開き、共同で設立する持ち株会社の傘下にファミマとサークルKサンクスが入るかたちでの経営の一本化を目指す。
今回の経営統合の予兆はあった。経営不振の責任を取り、ユニーGHDの前村哲路会長と中村元彦社長が3月1日付けで相談役に退いた。新しい社長には事業子会社ユニーの社長である佐古則男取締役が昇格した。
記者会見した前村氏は「結果責任を取った」と述べ、今回の人事が引責辞任であることを明言した。持ち株会社の権限を弱め、意思決定を傘下の事業会社に任せる現場主義に戻す。佐古氏は事業会社ユニーの社長を引き続き務める。
経営統合交渉はファミマの中山勇社長とユニーGHDの佐古社長のトップ会談で始まり、その後、役員クラスによる統合準備委員会がつくられることになる。
(文=編集部)