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マツコ・デラックスに“視聴率100%男”の危機意識はあるか?【コラムニスト・木村和久】

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マツコ・デラックスに“視聴率100%男”の危機意識はあるか?【コラムニスト・木村和久】

マツコ・デラックスに“視聴率100%男”の危機意識はあるか?【コラムニスト・木村和久】

 

― 木村和久の「オヤ充のススメ」その71 ―

 マツコ・デラックスが、春からテレビのレギュラー番組が8本となり、全部の番組の視聴率を足したら、100%になるのではないかと言われている。確かに20%を越えているのもあり、あながち嘘とも言えない。そもそも昔よりテレビを見ない人が多いのだから、視聴率70%ぐらいでも、100%男と言っていいのかも。いや女装家だから100%女王か、そこらへんは好きにしてくだされ。

 日本のテレビ界で最初に100%男になったのは、萩本欽一こと欽ちゃんだ。「欽ドン」「欽どこ」など30%を超えるお化け番組を持ち、トータルで100%を越えていた。しかし1985年に、全ての番組を降りて休養宣言をしてしまう。

 その後を継いだのは御存知ビートたけしだが、1985年に「ひょうきん族」などレギュラー8本を持ち、欽ちゃん以上の数字を叩き出している。そこで自分も先輩の萩本欽一のようになってしまうのか。相当な危機意識のなか、敢行されたのが、1986年末のフライデー事件である。表面上は愛人A子さんの過激取材に憤りを感じ、フライデー編集部に押し入ったとされている。でも冷静に考えて、そんな行き過ぎ取材の仕返しに、徒党を組んで犯罪行為をするか? 都市伝説では100%男の危機意識から、一回事件をやらかして謹慎し、そこから這いあがれるかという、賭けに出たと言われている。その後のビートたけしの復活、大活躍はご覧の通りだ。

 視聴率100%男は、今でも瞬間的になら、できなくはない。それを延々維持するのは、己の毒をいかに毒抜きせずにいられるかによる。マツコデラックスのレギュラー8本というのは、その毒が薄れ使いやすくなり、スポンサーサイドの意向を汲めるようになったからではないかと、思えるフシがある。

 先日、コンビニの冷やし中華が、いかに旨いかというテーマのトーク番組を見た。有名コンビニの方が、マツコに最新の冷やし中華を試食させていた。マツコは怪訝そうに、どうせおいしくないでしょみたいな素振りで、対応していた。そしてひと口冷やし中華を口にすると「昔のと全然違う~」と、大声でのたまう。80点ぐらいのリアクションである。決して美味しいとは言わないが、けど昔食べていた頃よりは、格段に味が進化しているのを印象づけている。見ていた私も、コンビニ冷やし中華を食べたくなったもの。

 でも、昔の切れ切れのマツコだったら、もっと鋭いことを言ってたと思う。「凄く美味しいし、味も格段に進化しているけど、しょせんコンビニの冷やし中華よ」と盛り上げて、ズバっと切り捨ててたハズだ。ほかにも「コンビニのなかでは一番」とか「街のレストランには叶わないわ」みたいな、当たり前のことすら言わない。これが今のマツコの限界というところか。

 最近のマツコは、この盛り上げてから、奈落の底に落とす2段論法トークをあまり見かけない。一本調子のアゲアゲばかり。これでは賞味期限が早くなるというものだ。いろいろ考えていると思うが、10本近いCMに出まくるのはなんとかして欲しい。100%男はそんなにCMに出ないというか、本来は毒があるから出られないのだから。視聴率100%を取り、CM女王も狙う。ほんとオカマは欲張りだよね。

 マツコも内心は飽きられるのを凄く恐れていると思う。どんどん人気が出てくると、次は究極のタイトルが待っている。それは好感度調査1位の栄誉だ。確かに誉れだが、これは鬼門である。何しろこれを取ったら後がない、行くところがないのだ。好感度1位になって落ちる時はあっという間だった、山田邦子の例もあるから、ほんと注意しないと。

 マツコはいつまでも「憎まれっ子世にはばかる」という存在で、好感度はそこそこでいい、切にそう思うのだ。

■木村和久(きむらかずひさ)■

トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦

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