社会そのほか速
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『課長島耕作』の人気キャラクター中沢喜一は、取締役末席から35人のごぼう抜きで社長に指名される。そんな大抜擢人事のサプライズが現実に相次いでいる。
4月1日付で三井物産の社長に就く安永竜夫執行役員(54)は、取締役を経験しないまま上席役員32人を飛び越えての就任。自動車部品大手デンソーの有馬浩二専務役員(57)と富士通の田中達也執行役員常務(58)は、14人抜きで6月の株主総会後に就く予定。6月末に取締役常務執行役員から味の素社長になる西井孝明氏(55)は7人抜きで、こちらは創業家を除いて最年少社長の誕生だ。
各社とも「変革期への対応」「グローバル戦略」など過去のシガラミにとらわれない刷新人事を強調するが、某大手商社役員OBは「後継者を指名する際、現社長には思惑が働く。要するにどうすれば影響力を残せるかに腐心する。院政を敷くかどうかはともかく、だから会長ポストに固執する。もしそんな考えがサラサラないならば、潔く会社と決別しています」と指摘する。
抜擢された社長にとって悩ましいのが、元上司だった面々への対応である。年上でもあり、手のひらを返したように接すれば反発を買う。元上司にしても、社長就任を機にペコペコするのは屈辱でしかない。そこで目障りな上席役員を次々と子会社に“パージ”するケースが多い。前出の商社OBが喝破する。
「これを露骨にやると、人事権を発動した社長だけでなく会長までもが恨まれる。といって粛清組を少なくすれば、社長は彼らの扱いに頭を悩ませる。これまで大抜擢人事が少なかったのは、企業が長年培った人事戦略の賜物だったのだから皮肉なものです」
このトレンドに“便乗”したのがトヨタ自動車で、創業以来初めて外国人の副社長と女性常務役員(こちらも外国人)を誕生させる。豊田章男社長の存在感は揺るがず、世界に向け「開かれたトヨタ」をアピールするなど宣伝効果は抜群だ。
たとえ秘めた魂胆がどうであろうと、こうした人事が世間の耳目を集めることは間違いない。