社会そのほか速
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2月11日付、この欄での記事に丸井グループの広報さんがこたえて下さいました。貴重な写真を送っていただき、懐かしいやら恥ずかしいやら。ありがとうございます! また、当時の社長さんとこの欄の担当(大学時代の後輩)もお会いしたことがあると聞きました。愛縁奇縁。今回は「偶然」にまつわるよしなしごとをつらつらとお話します。
約30年前、丸井の運動会で開かれた腕相撲大会で優勝し、青井忠雄社長(現・名誉会長)からたたえられる小田桐英裕さん(現・立川談笑師匠)。当時の社内報より抜粋=丸井グループ提供
空港やターミナル駅ならともかく、何げない道端で知り合いと出くわすのは刺激的です。出会う相手は、仕事仲間や古い友だち、落語のお客様など……。私は日常的に都内をラン&ウオークで這(は)い回っていることもあり、何気ないところで本当にたくさんの知り合いと遭遇します。有名どころでは鶴瓶師匠、元プロレスラーのキラー・カーンさん、お笑いタレントのマックン(パックンマックン)さんなどなど。
TVの仕事でよくあるのが街ゆく人にカメラとマイクでインタビューをする、「街頭インタビュー」。「街録=ガイロク」とも言います。このガイロクでの偶然話です。
都内ではありますが、池袋、東京ドームなど全然別の場所です。先様は若い女性。きっかけは、繁華街のドラッグストアの店頭に置かれたサトちゃん(佐藤製薬の象のマスコット)でした。たちの悪い酔客に乱暴されている彼を助けようというのがテーマの取材です。結論からいうと、通りかかる人たちは不二家のペコちゃんのように頭部がぼよよよよ~ん!となると思って、長い鼻を「えいっ」といじるのです。が、実は「ぼよよん機能」がサトちゃんには備わっておらず頸部がぐきっとなってしまう、という。今考えるとずいぶんゆるいネタかもしれません。
これが意外に評判が良くて、複数回にシリーズ化された中には楽しい演出もありました。無情にもガコン!と殴られたサトちゃんが「痛いヨ~!」と声を発するという趣向です。声優の野沢雅子さんにお越しいただききました。サトちゃんにスピーカーを装着して……。
「ガツン(と殴られる)!」
「痛いよ。やめてくれよぉ!」
という。これは面白かった。
繰り返すうちには、こんなのも。
「イたっ!痛いなあ、もう」
「あれ。今の、ゴクウ(=ドラゴンボール)の声じゃね!ゴクウだろ?」
「事情があって今日は違うんだよー」
「おー!カメハメハやってよ!」
「今日は象だから出ないんだよー」
なんて。
おっと。街録の女性の話でした。シリーズ最終回に、かわいそうなサトちゃんを引き取ってくれる「サト親」を探そうという企画でお世話になったのがその方だったのです。ご自宅までお邪魔したのでよくお顔も覚えていたので、次に街録で会った時に「おお!」という関係になったと。嬉しさのあまり、「サトちゃん、元気ですか!」と聞いた私は、我ながら馬鹿です。
続いて。その時は夜の新橋SL広場。酔っ払い相手のガイロクをしていました。
相手は同世代のビジネスマン。先方はほんのり飲んだ赤い顔で、マイクを向けられてTV取材に答えているつもりなので何も気づいていません。ひとしきりインタビューを終えた直後、私は、彼の腹部にストレートパンチをズドンと突き立てて言いました。
「吉野テメー!……どうもありがとうな」
目を見開いた表情は忘れられません。高校の同級生でしたw。
紅白歌合戦での「ヨイトマケ」が話題になった後。美輪明宏さんのご自宅にインタビューに伺いました。話はどんどん飛びますw。絢爛(けんらん)なお宅に入ると先客の中年紳士がお帰りになるところでした。美輪さんの写真を撮り続けているスチールカメラマンさんだそうです。こちとらTVチームとは今後の接点はなさそうです。それでもそこは渡世の義理。「いやいや」「まあまあ」と雰囲気重視の名刺交換儀礼を済ませていると、若い男性ディレクターが突然「ええーッ?!」と奇声を上げました。同時にカメラマン氏も「うわっ!」。
聞くと、二人とも珍しい苗字で、それが共通だったのだと。同じ苗字の人物と出会うのは初めてと互いに驚いていました。あたかも美輪さん宅らしいスピリチュアルっぽい奇遇ではあります。
ところが話はまだ続きます。その、驚き喜んでいる2人の横から私も名刺を差し出しました。立川名義ですから苗字は違う。落ち着くかと思いきや……。
「おおー! 落語家さんですか! 実は今日この後、新聞社の仕事で落語会に撮影に行くんです!」
「そうですか。偶然、私もこの後落語会があって、一席演(や)るんです。どちらでですか?」
「大田区の、下丸子です」
「わ~!」
「え?……おお~!」
そんな偶然。
また別の日。
都内JR四ツ谷駅の立ち食い蕎麦屋で。移動の途中、いそいそと蕎麦をたぐってるとカウンターの向こうのおじさんから声をかけられました。
「あのぉ、失礼ですけど」
「は?」
「立川談笑さん?……ですよね?」
「ええ、そうです。おはようございます」
「Mです! ほら、美輪さんのお宅でお会いした…」
「わあーーー!!!」
「わあー!(←私の驚きぶりに驚く様)」
どれもこれも、なんてことないっていやあ、なんてこたぁない。 ともあれ偶然は、偶然。必然なんかじゃあない。
(次回は3月25日更新予定)
立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二つ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打ち昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>都内での独演会は3月14日、4月21日、5月13日、広瀬和生氏とのトークショーもある「この落語家を聴け!」(北沢タウンホール)は3月24日、吉笑(二つ目)、笑二(同)、笑笑(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は3月26日、4月24日、5月29日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/
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