自民党・公明党が大勝した昨年末の衆院選。沖縄では「オール沖縄」に自公が全敗(比例で復活)、本土と沖縄では状況が違うことが明白となった。現在の沖縄では何が起きているのか?をリポートする。
⇒【写真】沖縄尚学中学・高校で必修の空手の授業
◆外国人観光客増加、求人倍率も好調
経済面での自立の模索も続く。沖縄経済といえば観光。ここ数年観光客数は伸び悩むが、沖縄国際大学経済学部・宮城和宏教授は強気の分析だ。
「外国人訪問者数は増えています。拡張予定の那覇空港も海外直通便が増加中。豊かな自然と特徴的な伝統や文化がウケれば、県目標の700万人どころか1000万人はいけます。また、県で3分の1のシェアを誇る小売業の地元企業・サンエーは、純利益率や自己資本比率などは大手を抑えて全国ナンバーワンの超優良企業ですよ」
それでも沖縄は“経済最下位県”の印象が強いが……。
「将来的に希望の持てる指標も多いんです。例えば失業率は高いが、半面求人倍率も高い。県民1人当たりの所得が最下位なのも、子供が多いからですよ。その数字を引くと、だいぶ順位は上がります」(宮城教授)。全国で減少傾向にある就業者数も、沖縄だけは10.8%増加している(’97~’12年)。
歌や踊りなど、文化面でも復興運動が盛んだ。中でも全県レベルで推進されているのが、沖縄発祥の空手だ。
県立の沖縄空手会館も建設準備中。教育現場でも普及が進んでいる。’12年から必修化された中学校の武道の授業は、全国的には柔道や剣道が主流だが、県下の約8割が空手を選択している。
高校では、高校野球で有名な沖縄尚学がスゴい。與座宏章教頭はこう胸を張る。
「在校生のうち369人は有段者。本家本元の沖縄伝統空手の使い手となれば、それだけで世界に通用します」
同校で空手を教える沖縄県空手道連盟の島袋章雄副会長はこう語る。
「沖縄の空手の型はすべて“受け”から始まり、決して先に攻撃しません。“戦わないために鍛える”のです。究極的には、世界平和にも通じる思想だと思います」
翁長現知事も駆けつけた辺野古の新基地建設現場では、対立が続く中でも歌や踊りが絶えない。その土台にはこういった“沖縄の思想”があると考えると合点がいく。
政府は1月、一転して’15年度の沖縄関連予算を削減する方針を固めた。一方で辺野古では、1月10日深夜に生コン車が反対を押し切ってゲートを突破。そういった態度と無理解が、沖縄の心を一層硬化させている。昨年独立騒ぎに発展したカタルーニャ(スペイン)やスコットランド(英国)のようにならなければいいが……。
取材・文・撮影/足立力也
― 日本人が知らない[沖縄自立]という潮流【2】 ―