社会そのほか速
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同じ趣味の持ち主などに入居者を絞った賃貸住宅が増えている。
ユニークな方向性を打ち出すことから「コンセプト(基本理念)型賃貸」とも呼ばれる。趣味のための共用設備があることが多く、入居者同士が交流しやすい点も魅力のようだ。
会社員の源藤司郎さん(31)は一昨年から、東京都江戸川区にあるペットの飼い主向けアパートで暮らす。8戸すべてが、犬や猫を飼っているか、近く飼う予定だ。
妻の和恵さん(32)と、2匹の小型犬を世話する。リビングには、においを軽減する換気扇のあるペット用トイレスペースがある。洗面所は、ペットを洗いやすいよう、洗い場が深くなっている。転居前は「ペット可」のアパートだったが、他の住人に気兼ねしていた。「ここでは住人同士、鳴き声などを気にせず過ごしています」
屋外の共用スペースにはベンチが置かれ、ペットとくつろいだり、他の住人と会話を楽しんだりできる。散歩帰りに使う共用の足洗い場もある。
アパートを施工した旭化成ホームズ(東京)は、ペットの飼育を前提とする賃貸物件を、首都圏で約300棟建築。約2000世帯が入居する。一般のアパートより、住人同士の交流が盛んな傾向があるという。
「シルバーストーン三軒茶屋」(東京都世田谷区)は、オートバイのライダー向け。築45年の女子学生会館を大規模改修した。
オートバイの駐車スペースを、屋内外で全戸分確保。1階のカフェには、オートバイ関連の雑誌が置かれ、住人同士が共通の話題で会話を楽しむ。一角にはオートバイを整備する工具類をそろえたスペースも。昨年3月から入居する中学教諭の男性(25)は「住人同士でツーリングに出かけることもあります」と話す。
ワイン愛好家のための物件が、「ワインアパートメント」(東京都渋谷区)。各戸にワインセラーを標準装備。地下には温度管理されたワイン貯蔵庫もある。週末にはソムリエが訪れ、ワインについて相談に応じてくれる。賃料は管理費などを含め月30万円近くかかるが、人気は高いという。
首都圏に8棟ある「ミュージション」は、音楽家が思い切り演奏できるよう設計されている。音楽スタジオ並みの遮音性能をもち、ピアノを部屋に搬入できる大型エレベーターを装備。打楽器を除く大半の楽器を演奏できる。
住宅ジャーナリストの山本久美子さんは「コンセプト型賃貸が増えているのは、空き家が首都圏でも急増し、賃貸物件でも住人が集まりにくくなっていることが背景にある」と話す。家主にとっては、コンセプトに合った人の入居を促し、長く住んでもらう効果が見込めるといい、今後はさらに広がる見通しだという。
「ただ、共用部分が充実していることなどから、家賃は周辺の相場よりやや高めな傾向。物件を探す際には、賃料に見合うだけの充実ぶりかをよく考えてください」と山本さんは話している。(田中左千夫)