社会そのほか速
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全共闘時代を中心に、かつて“反戦自衛官”と呼ばれる自衛官が何人かいた。この人は代表的な人物だろう。1969年、自衛隊の治安出動訓練を拒否し、自衛隊法違反で逮捕された小西誠さん(66)だ。81年に無罪が確定したが、小西さん、今どうしているのか。
「自衛隊こそブラック企業のハシリであり、その手の企業のお手本にされた組織じゃないか。そう思いますね」
JR高円寺駅から約12分、1990年に自ら立ち上げた出版社、社会批評社で会った小西さん、まずはこういった。
「例えば、契約社員問題。期間限定の雇用で、契約期間終了後に使用者側が再雇用しない限りは退職という『雇い止め』は、自衛隊の一般隊員の雇用期限と同じです。当局が再雇用しなければ、雇用期間をもって任期終了になり、退官せざるを得ない。また、サービス残業も自衛隊が元祖でしょう。災害派遣などの非常時を想定した24時間勤務態勢が日常的に敷かれ、長時間勤務を強いられても、スズメの涙ほどの手当しか出ない。いや、出ればマシ、といった方がいいですね」
詳しくは小西さんの近著「自衛隊 この国営ブラック企業」(社会批評社)に譲るとして、一貫して自衛隊にこだわるのはナゼか。
「自衛隊に深い恨みがあるわけじゃないですよ。空自の少年自衛官として入隊し、20歳まで自分の職業に誇りを持って勤務してきたわけですから。ただし、です。将来的には自衛隊という『軍隊』は日本からなくなればいい、とは思ってます。その前に、自衛隊の民主化が先ですが」
目下力を入れているのが、理不尽なイジメやパワハラに直面している現役自衛官に対する支援。「自衛官人権ホットライン」の事務局長として相談に応じている。
「04年のイラク戦争の際に始めたから、もう11年目になります。閉鎖的な組織にはイジメや体罰は付きもので、ボクの在職中にもイジメはありました。ほとんどは一般隊員同士でしたが、最近は中堅・幹部自衛官同士のパワハラが急増してる。原因? 海外派遣による短期間の単身赴任が繰り返され、このところ災害救助活動も多い。つまり、ストレスの増加です。加えて、自衛隊員の不祥事が多発した結果、隊内の引き締めと称し、私生活を厳しく管理し始めた。その鬱憤のはけ口という面もあると思います」
小西さんは宮崎県串間市生まれ。中学卒業と同時に少年自衛官に。
「7人兄弟の6番目。それまで食うや食わずの極貧生活でしたから、これからは食べ物の心配はない。…