社会そのほか速
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ボタンを押したり振るだけで柄が変わる――電子ペーパーを使ったそんな腕時計「FES Watch」が昨年クラウドファンディングサービス「Makuake」に登場し、多くの人々の話題をさらった。製品自体の魅力もあるが、それだけではない。開発元である「Fashion Entertainments」が、実はソニー社内の新規事業プロジェクトだったからだ。
なぜ社名を出すことなく新製品を開発したのか。また、ソニーが社内ベンチャーともいえる新チームを立ち上げた狙いとは――プロジェクトリーダーを務めるソニーの杉上雄紀さんに開発の背景を聞いた。
●社外のベンチャー企業を見ていて「悔しかった」
FES Watchの企画が生まれたのは2012年のこと。きっかけは、当時テレビ関係の事業部に所属していた杉上さんが訪れた「東京ゲームショー」だったという。
「数十年前はアナログだったゲームはいまやすっかりデジタル化し、東京ゲームショーで多くの人々を熱狂させている、一方、ファッション業界にも同じくらいの熱量があるものの、デジタルの要素はない」――デジタルとファッションを組み合わせれば今までにない変化を起こせるのではないか。そんなアイデアが芽生えたという。
そこで杉上さんは通常業務のかたわら、電子ペーパーでの完成形を想定したファッションアイテムを紙で試作。そのアイデアを社内の新規事業コンテストで提案していった。しかし、当時のソニーで「電子ペーパーを使ったファッションアイテム」といった既存の事業部に当てはまらないアイデアを実現するのは一筋縄ではいかなかった。
「これまでも新規商品や新規事業のアイデアをたびたび検討してきたが、アイデア自体に可能性があっても、既存事業に当てはまらないため具体化できないものが多々あった。そうして眠っていたアイデアとよく似たものを、国内外のベンチャー企業が実現していくのを見るたび悔しい思いをしていた」と杉上さんは振り返る。
そんな中、杉上さんに1つの転機が訪れる。2014年4月、平井一夫社長 兼 CEOが直轄する「新規事業創出部」が新設されることになったのだ。
新規事業創出部は、既存事業の枠組みにとらわれずに「新しく事業を起こしたい」「アイデアを形にしたい」という社員の思いを形にし、事業化を目指すもの。そこでプロジェクト第1弾として選ばれたのが、電子ペーパーを使ってファッションアイテムを開発する杉上さんのアイデアだった。…