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過去2年でダルビッシュが残してきた、中6日登板での驚異的な成績とは
レンジャーズのダルビッシュ有投手が、中6日以上で登板した場合に驚異的な成績を残していることを地元紙「ダラス・モーニング・ニュース」が伝えている。メジャーでは中4日での先発が基本だが、日本時代のように登板間隔が長い方が、その能力を十分に発揮できるようだ。
記事で紹介されているダルビッシュのデータは、過去2年(2013、14年)のもの。そこには明らかな差がある。勝敗は中6日未満が17勝14敗に対して、中6日以上は6勝2敗。さらに、防御率は3.21と1.49と大きな開きがある。9イニングあたりのヒット数は7.26本と6.12本、被本塁打は1.07本と0.50本、四球は3.40個と2.69個、そしてトレードマークの奪三振は11.63個と11.79個。すべて中6日以上の成績が上回っている。
さすがにダルビッシュといったところで、中6日未満の成績も決して悪くない。メジャーで一流投手の部類に入るものだ。ただ、中6日以上の成績はあまりにも圧倒的で、間違いなく、メジャー屈指のレベルとなっている。
ダルビッシュは昨年、ヤンキースの田中将大投手が右肘靭帯部分断裂で離脱した直後のオールスターに出場し、前日の記者会見で中4日の登板間隔は短いとする持論を展開した。日本のように中6日あれば、1試合に投げる球数が多くても炎症は取れると断言。その言葉を証明するようなデータ(成績)が実際に出ている。
登板試合数が少なくなればハードルは上がるが、昨年のカーショーの例も
極端な話、仮にダルビッシュがメジャーでも全ての試合に中6日で登板した場合、日本時代にも匹敵するような圧倒的な成績を残せる可能性も出てくるいうことになる。
では、それでサイ・ヤング賞を獲ることは可能なのか。
今季、レンジャーズは開幕戦が4月6日のアスレチックス戦で、シーズン最終戦が10月4日のエンゼルス戦。182日間で162試合を消化する。単純に中6日で182日間を過ごすと、先発できるのは26試合。中5日を挟んでも、30試合に登板するのは難しいだろう。
近年、メジャーで最も先発数の多い投手は、年間34試合に登板する。試合数やイニング数を多く積み上げた先発投手が評価されるメジャーにおいて、7、8試合の違いが生まれれば、大きなハンデとなる。しかも、年間26試合でスターターの評価基準の1つである200イニング登板に到達しようとした場合、1試合平均で約7回2/3を投げる必要が出てくる。…球数を増やすとしても、なかなか高いハードルと言えるだろう。
ただ、21勝3敗、防御率1.77という驚異的な成績を残し、昨年のナ・リーグMVPとサイ・ヤング賞をダブル受賞したドジャースのクレイトン・カーショーは、開幕直後に怪我で離脱したため、27試合にしか登板できなかった。それでも、198回1/3と200イニング近くまで到達。1試合平均で約7回1/3以上を投げ、文句なしで最高の栄誉を手にしている。
レンジャーズには難問?「ダルビッシュを28試合に先発させるのか、32試合に投げさせるのか」
カーショーの場合は中4日を基本にこの成績を残したことが驚異的と言えるが、仮にダルビッシュが中6日で登板し続けてシーズン26~28試合程度の登板に終わっても、過去2年のデータ通り圧倒的な成績を残せば、サイ・ヤング賞を獲得できる可能性はあるというわけだ。
もちろん、これは机上の空論であるし、データには中6日を超える登板間隔の試合も含まれる。しかも、メジャーでは1登板あたりのイニング数が少なくなっても、いい投手により多くの試合で先発してもらいたい、というのが基本的な考え方だ。スター選手が投げることで観客動員につながるというのも大きい。
昨年、負傷者続出に苦しめられたヤンキースは、今季開幕直後に6人制ローテの導入を検討していると報じられている。ただ、メジャーではアクティブ・ロースターの枠が25人と日本の1軍登録人数より3人少なく、6人制ローテの導入には壁が多い。ヤンキースもシーズンを通して続けるわけではないようだ。
「ダラス・モーニング・ニュース」では、メジャー4年目のダルビッシュはまだ日本プロ野球からの移行期間にあると指摘。日本の方が先発投手の登板間隔が長いことを説明した上で、メジャーでの過去2年間の成績から「ダルビッシュは余分な休みを与えられた方が、ベストのパフォーマンスを見せている」としている。
一方で「それはレンジャーズに難問を突きつける。彼らは(十分に)休みの取れたダルビッシュを28試合に先発させる方がいいのか、可能な限りマウンドに上がらせて32試合程度に投げさせる方がいいのか」とも言及。特に、今季初めてMLB球団を指揮するジェフ・バニスター新監督にとって、これは極めてデリケートな問題だという。
新指揮官は現時点でダルビッシュに「全ての先発を全うしてほしい」と要求しており、エースには先発ローテ5人制でのフル回転が求められることになりそうだ。それでも、仮にダルビッシュが毎試合、十分に休みを取り、コンディションの整った状態でメジャーのマウンドに上がった場合、どんなピッチングを見せ、どんな年間成績を残すのか、1度は見てみたい気もするが……。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count