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政府の“見放し”から5年 ボルボが復活を遂げたワケ

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政府の“見放し”から5年 ボルボが復活を遂げたワケ

 政府の“見放し”から5年 ボルボが復活を遂げたワケ

 

 2010年、欧米の自動車業界を激震させたのが、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボカーズの中国メーカーへの売却だ。当時フォードの傘下にあったボルボは、深刻な経営難に直面。フォードは、スウェーデン政府による救済を求めていたが、政府は何とこれを一蹴したのだ。政府は「国として自動車メーカーは所有せず、新たな産業へシフトする」と明言し、同じく破綻危機の状況にあったサーブとともに、自動車産業を“見放し”た。

 だが、その後スウェーデンは、ITなどより知識集約型の産業に大きくシフトし企業を輩出、しかも救済されなかったボルボ自体も、中国の浙江吉利控股集団の傘下で、急速な復活を遂げている。福祉で有名な北欧各国だが、産業政策では、企業の新陳代謝を促す仕組みが取られているのだ。この売却から復活までの軌跡について、アラン・フィッサー上級副社長に聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

 ※詳細は、「週刊ダイヤモンド」3月14日号特集「北欧に学べ」に掲載。

中国企業ではなく
 スウェーデン企業だ

 ――ボルボは1999年、フォードに買収されました。そもそも、ボルボはスウェーデンにとってどんな存在でしたか。

  ボルボは米国や日本などの自動車メーカーと違って、とても小さな会社ですが、スウェーデン文化と結びついた独自の特徴を持っています。石のように動かない遺産のようなものです。

  それは、自動車の安全性を重視する姿勢や、レジャーで自然と触れ合う文化などを反映しています。冬の自然環境に耐えられるように、自動車を北極圏でテストしているのもそのためです。

  われわれはイケアほど、スウェーデンを前面には出していませんが、国産の木材をインテリアに使ったり、シートの端に小さな国旗を付けたりしています。

 ――そのように、スウェーデンと結びつきが強いボルボが、米国企業に買収されるとき、関係者はどう感じていたのですか。

  われわれが持っているブランドは(乗用車の)ボルボ一つだけです。一人ひとりがブランドを生み出していると感じられる規模の会社です。そのボルボが、多数のブランドを有するフォードの一部になりました。

  生産規模もボルボ30万台に対してフォードが500万~600万台と違いましたから、両者の間で歩み寄りが必要な場面はありました。

  もちろん、フォード傘下の時代があるからこそ、今のボルボがあるということは言うまでもありません。…

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