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渋谷がキャンパス。元祖ソーシャル系「シブヤ大学」の軌跡

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渋谷がキャンパス。元祖ソーシャル系「シブヤ大学」の軌跡

 渋谷がキャンパス。元祖ソーシャル系「シブヤ大学」の軌跡

 

 のべ3万人が学ぶ街

 

 東京・渋谷に、なかなか受けられない大学の授業がある。受講倍率は3~5倍、授業内容は『女性からだ会議』『「デザインする」ということについて~形をつくる前に何をするか?~』『暮らしの中の聞こえづらさを考える』など様々だ。
 実はこれ、学校教育法が定める国立や私立大学の授業ではなく、誰でも入学できる「シブヤ大学」の授業の一例。
 シブヤ大学は、2006年に“街がキャンパス”“教えると教わるを自由に行き来する新しい共育システム”を掲げて開校した。「ソーシャル系大学」と呼ばれる大学の元祖だ。
 
 シブヤ大学の開校以降、街に眠る資源を見つけ、住人が教えあうという「ソーシャル系大学」はまたたく間に全国に広がった。シブヤ大学が経済産業省の「平成21年度地域新事業創出発展基盤促進事業(コミュニティビジネスノウハウ移転・支援事業)」の助成をうけ、全国8ヶ所に姉妹校をオープンしたのも大きなきっかけとなった。
 
 シブヤ大学の受講生の8割は20~40代、発行するメールマガジンの登録者数は26,156人、登録学生数21,613人、のべ受講生数は約30,000人にのぼる(※2015年月2日時点)。
 他者とつながり共に学びあう仕組みはどうつくられ、どうやって若者の共感を集めたのか? シブヤ大学学長 左京泰明さんに話を聞いた。

 渋谷がキャンパス。元祖ソーシャル系「シブヤ大学」の軌跡
 
 

 渋谷を、共助のできない街にしない

 

 「2004年に渋谷区議会議員の長谷部健さんが、住民が互いに教えあい、街全体をキャンパスにするという生涯学習を提案し、採用されました。渋谷区教育委員会の生涯学習課で実施に踏み切ったのですが、今までやっていた事業とは取り組み方が違うこともあり、頓挫していました。そこで僕たちが、民間主導で進めてそこに行政が入るという提案をして、2006年にNPO法人シブヤ大学を立ち上げました。
 渋谷には105の町会がありますが、参加者は古くからの町民ばかりです。たとえば首都圏で地震が起きた場合、町単位で共に助けあうことが必要になってきますが、現在の町会の状況では難しいとおもいます。渋谷区はこの状況に危機感を持っていて、シブヤ大学の活動を通して若い住人が知り合い、渋谷が自分の居場所だとおもってくれることで共助のできる関係にしたいと考えています。また、授業を通して地域に対する愛着がうまれ、それが行動につながり、ひいては魅力的な街づくりにつながるというシナリオを描いています」
 
 1990年に「生涯学習振興法」が制定されて以降、それまでの青少年を対象とした社会教育に代わって、老若男女が学び続けるという「生涯学習」の考えかたが台頭した。…

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