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カエルやイモリなど両生類の受精卵が体になるメカニズムについて、100年前にドイツの生物学者が唱えた尻尾から頭に向けて細胞ができるという説を覆し、頭が先だとする研究結果をJT生命誌研究館のチームが11日に発表した。「教科書に書かれた常識が変わる可能性がある発見」としている。
1935年にノーベル生理学・医学賞を受賞したハンス・シュペーマンは、20世紀初頭、両生類の体が形作られる仕組みをイモリを使って実験し、細胞の塊が受精卵の下から上に向かって伸び、尻尾側から先に細胞の役割が決定するという説を唱えた。
JT生命誌研究館の橋本主税主任研究員らのチームがアフリカツメガエルの受精卵を詳細に観察した結果、従来の説とは逆に、細胞は受精卵の中央付近で頭の神経組織を作るように運動し、最後に下に伸びて尻尾が作られることが明らかになった。
実は、橋本研究員らがこの説を発表したのは13年前。アフリカツメガエルの発生はシュペーマンの説とは逆だと主張したが、当時はアフリカツメガエルが特殊な生物だとして、両生類全般に共通する現象として受け入れられることはなかったという。
研究チームでは今回、アカハライモリなど十数種類の両生類を対象に解析し、全ての種類がアカハライモリと同じ形成過程をたどっていることを確認した。橋本研究員は「新しい説は両生類の常識を覆すだけでなく、脊椎動物全体に共通する形成メカニズムを考えるうえで重要だ」と話している。
なおこの論文は、日本発生学会誌電子版に掲載された。