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【エルサレム大治朋子】イスラエルのリブリン大統領は25日、先の総選挙で第1党(30議席)となった右派リクード党首のネタニヤフ首相に新政権の組閣を要請した。首相は右派系政党との連立政権発足を目指す方針。最大67議席の確保が可能で政権の安定化が見込まれるが、首相は選挙前、右派票獲得のためパレスチナ国家樹立の方針を否定。和平推進派の米オバマ政権との亀裂を深めるなど、課題は山積している。
ネタニヤフ首相は26日、各党との連立協議を開始した。組閣期限は28日間で、大統領権限で14日間の延長が可能。地元メディアによると、宗教系極右「ユダヤの家」や右派3党はリクードを軸とする連立への参加に原則合意。中道右派の新党クラヌも連立入りの方針を示している。
一方で、首相は第2党となった中道左派の統一会派シオニスト・ユニオンとの大連立の可能性も「排除していない」。ただ、これは連立協議で激化する閣僚ポストの争奪戦で、首相が自分の意向を通すための「切り札」にしているとの見方が、現時点では有力だ。
パレスチナ問題への対応などで、連立内の中道、左派系各党や宗教系極右との関係が悪化した首相が昨年12月、議会解散を決めた。中道左派は統一会派を結成し、物価高騰や格差問題への対策を掲げて予想以上に支持を伸ばし激戦となった。これに対し首相は「左派に政権を奪われる」と右派の危機感をあおる一方、他の右派政党では中道左派と連立を組む可能性があると呼びかけて右派票をリクードに結集させた。また極右層には「アラブ人が大挙して投票所に押し寄せている」と人種差別的な発言で投票を促した。
幅広い右派層から支持を得て圧勝することに成功したものの、急場しのぎの選挙戦術は、対米関係悪化の代償を招いた。
首相は選挙直後から米メディアなどの取材に相次いで応じ、パレスチナ国家樹立による2国家共存を目指す従来の方針に変わりはないとの発言を事実上撤回。選挙直前に「ユダヤ人入植(住宅)地を拡大させる」と述べていた占領地・東エルサレムの入植地1500戸の建設も急きょ凍結するなど「軌道修正」に躍起だ。だが、オバマ政権やパレスチナの幹部らは「発言をなかったことにはできない」と不信感を強めている。
こうした情勢を踏まえ、リブリン大統領は25日、ネタニヤフ首相への組閣要請に伴う会見で、次期政権が担うべき「三つの重要な課題」として、政権の安定的運営や米国との関係改善、「分断の修復」をあげた。経済対策やパレスチナとの和平交渉推進を促した形だ。