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3月20日、TOHOシネマズ京橋において東京アニメアワードフェスティバルの長編アニメーション部門 ファイナル5作品のうちの一つ『Song of the Sea』の舞台挨拶が行われた。
同作はトム・ムーア監督によるアニメーション作品で、アイルランド、フランス、デンマーク、ベルギー、ルクセンブルクの制作スタジオが共同で手がけたもの。海で暮らすアザラシが陸に上がり人間になるというアイルランドの伝記を土台とした、少年・ベンとその妹・シアーシャが繰り広げる、妖精と魔法、そして家族の物語だ。
舞台挨拶ではアイルランド大使のAmb Barrington氏と、プロデューサーのStephan Roelants氏が登壇。「この作品は今年度のオスカーでアカデミー賞にノミネートされ、この東京アニメアワードでもファイナルに残りました。アイルランドは才能と野心に溢れたアニメーション作家を輩出しており、デジタルクリエイティブ産業が主要産業の一つになりつつあります」とBarrington氏。また、日本人もアイルランド人も自然、伝承、古代文化へ愛がお互いを結びつけていると日本とアイルランドの精神性にも触れた。
続けてプロデューサーのRoelants氏は「お越しくださったみなさまにはぜひ楽しんでいただきたいです。今後、日本の主要都市でも楽しんでいただけることを願っています」締めくくった。
2014年に制作された『Song Of Sea』は、東京アニメアワードでの上映が決定しチケットを発売したところ、販売開始は深夜だったにも関わらずわずか1時間程度で完売。急遽追加で19日の上映も決定した。国内での劇場公開はまだだったが、期待の大きさがわかる結果だ。
同作で注目なのは、水彩の“にじみ”まで幻想的に動き出す美麗な映像。スクリーンに映し出されると、まるで絵本の世界に迷い込んだような錯覚に陥る。そして胸を打つベンとシアーシャの冒険に片時も目を離せなくなる。
加えて、複数の国からスタジオが参加した共同制作であるということも外せない。1人のクリエイター、小さな制作スタジオのみでは解決できないコストや工数などの制作上の問題も共同制作にすることで解決できると、登壇したBarrington氏もそのメリットを強調していた。表現手法も制作方法も、間違いなく今後の注目アニメーション作品となるはずだ。
[川俣綾加]