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◇「船のキャンセル響く」 見合わされる外国客船寄港
【シディブサイド(チュニジア北部)宮川裕章、チュニス秋山信一】チュニジアの首都チュニスで国立バルドー博物館が襲撃され20人以上が死亡した事件で、国の基幹産業の観光業界に不安が広がっている。2011年の反政府運動で崩壊したベンアリ政権時代に経済が安定していたことを懐かしむ声も出ている。
地中海沿いの丘に連なる鮮やかな青白2色の建物。チュニジア北部の観光地シディブサイドには土産物店が並ぶが、通りは客の姿がまばらだ。「船のキャンセルが響いている」。キーホルダーなどを売る土産物店主、フェシシ・ボルヘンヌさん(38)は渋い表情だ。18日にチュニスで起きた襲撃事件以降、外国からの客船の寄港が見合わされている。
「今回のテロの影響は、11年の革命時の混乱で観光客が減った時とは比較にならないほど大きい」。国内の旅行代理店700店が加盟するチュニジア旅行代理店協会のナディア・クタタ事務局長(40)は心配する。
革命前、約700万人だった外国人観光客は一時470万人に減ったが、13年以降は600万人台に持ち直していた。だが以前の水準には戻っておらず、観光業界では、人権抑圧体質だった一方で治安、経済は安定していたベンアリ政権時代を懐かしむ声が聞こえてくる。
クタタ事務局長は02年に南部ジェルバ島のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)でドイツ人観光客ら約20人が死亡したテロ事件を振り返り、「あのテロでドイツからの観光客が減少し、その時の影響が続いていた。そこに首都で事件が起きた。回復までに何年かかるのか分からない」と話した。
国内総生産の7%を占め、直接雇用だけで40万人、間接雇用などを合わせると人口1000万人の国民の2割が従事するとされる主産業・観光業への打撃に政府も頭を痛めている。政府は襲撃事件後、治安対策と同時に観光業界へのテコ入れを進める緊急委員会を発足させ、金融支援をこれまでの2倍に増やす意向だ。
「観光しかない国だからこそ、博物館がテロに狙われた。この危機を国民みんなで団結して乗り越えなければならない」。チュニスのタクシー運転手、アビブ・キアリさん(46)は語った。