社会そのほか速
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
アフガニスタン国内の混乱からパキスタン北西部ペシャワルに近い部族地帯・北ワジリスタン管区などに逃げてきたアフガン難民約1万人が、自国に半ば強制的に帰還させられていることが国連などへの取材で分かった。難民によると、警察が「難民の居住地域に反政府勢力が潜んでいる」として一斉摘発を行った後、無関係の難民に帰国を指示しており、事実上の「追放」状態にあるとみられる。
パキスタン政府は昨年6月から北ワジリスタン管区を中心に、国内最大の武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)などの武装勢力に対する軍事作戦を行っている。TTPは軍事作戦への報復として昨年12月、ペシャワルにある軍運営の学校を襲撃し、140人以上を殺害した。
学校襲撃事件後、国内で武装勢力への強硬論がさらに高まり「アフガン難民の居住地域に武装勢力が潜伏し、治安が悪化した」と事件の責任を難民に転嫁する声が出ていた。アフガン難民「追放」の背景にはこうした国内世論があるとみられる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)アフガニスタン事務所の高嶋由美子副代表によると、学校襲撃事件後、アフガンに帰還する難民が急増。パキスタンで長年暮らし、アフガンに生活基盤がない人もおり、多くの難民が途方に暮れているという。パキスタンはアフガン難民約180万人が住む「最大の受け入れ国」であり、今後への影響が懸念される。
地元メディアによると、パキスタン政府は難民の「追放」を否定。同管区などパキスタンとアフガンの国境沿いは部族に自治権があり、部族の意向が働いた可能性もある。
一方、UNHCRによると、パキスタン政府が同管区で軍事作戦を始めて以降、パキスタン人約30万人が難民としてアフガン南東部に流出しているという。パキスタンはアフガン難民を受け入れているが、逆に大量の難民を出すのは初めて。アフガン南東部は治安が悪く、支援にコストがかかることもあり、食料が十分に行き渡っていない状況にあるという。【三木幸治】