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鏡板 161年ぶり復元

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鏡板 161年ぶり復元

 鏡板 161年ぶり復元

 鳥羽市鳥羽の賀多神社に伝わる組み立て式能舞台(県有形民俗文化財)の鏡板(かがみいた)が、161年ぶりに復元された。同舞台の修復作業に取り組む鳥羽市能楽保存会から依頼を受け、同市若杉町の画家野村昭輝さん(72)が色鮮やかな枝ぶりの老松を描き上げた。同保存会では「4月4日の賀多神社の春祭りで市民にお披露目したい」と話している。

  同神社に約320年前から伝わる能舞台は、全国でも二つしかない組み立て式能舞台で、同神社の春祭りのたびに組み立てられてきた。1854年(嘉永7年)に一度修復されたが、損傷が激しく、2000年を最後に使われていない。

  11年、同保存会と市教育委員会が旧鳥羽小学校講堂に移して修復を開始。舞台の床や、楽屋から舞台に渡る廊下(橋がかり)の部材を交換するなどしてきた。

  鏡板は、能の舞台背景で、現存するものは彩色が落ち、墨で描いた老松の輪郭しか判別できなかった。そのため、野村さんは昨年末に依頼を受けると、実際の能舞台を見て回るなどして研究。今年1月末には、縦1・8メートル、横5・5メートルのスギ板をアトリエに運び込み、輪郭は忠実に再現するとともに、色彩は奥行きが出るようにアクリル絵の具で松葉に濃淡を付け、約1か月かけて完成させた。

  舞台の修復作業はこれで完了し、今年10月の同神社の遷宮では、修復した舞台で薪能を上演する計画という。

  無償で制作した野村さんは「市の文化財の継承に関われたのは光栄」と喜び、保存会の川村光徳会長(76)は「能舞台の歴史を後世に伝えるのにふさわしい、立派な鏡板ができた」と感慨深げだった。

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