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大阪・ミナミのビルの一室にある電子たばこ専門店は、夕方から夜を中心に、仕事帰りの会社員や学生風の若者らでにぎわう。カラフルな吸入器が並び、メンソール味やいちご味など約200種類の溶液がある。
昨年6月にオープンし、売り上げはこの半年で5倍に伸びたという。男性経営者(37)は「海外での流行を知り、日本でもブームが来ると思った」と話す。
ミナミや東京の渋谷、新宿には計約20の専門店があり、うち半数以上が昨年にオープンした。インターネット上でも売られている。
背景にあるのが、欧米でのブームだ。「禁煙効果がある」などとして、世界の市場規模は13年の4200億円から14年は7200億円に急拡大。オックスフォード英語辞典は14年に注目を集めた言葉として、電子たばこを吸う行為を意味する単語「VAPE(ベープ)」を選んだ。
一方、国民生活センター商品テスト部の担当者は「電子たばこの禁煙効果や安全性については、明確な根拠がない。安易な使用は控えた方がいい」と警鐘を鳴らす。
電子たばこには、通常の紙巻きたばこよりは少ないがニコチンを含むものと、含まないものがある。ニコチンを含むものは、国内では医薬品医療機器法で製造販売が禁じられている。ただ、使用は規制外のため、個人輸入で入手する人が少なくないという。ニコチンがないものに対する法規制はなく、年齢制限もない。
14年8月には、世界保健機関(WHO)が、「禁煙効果は限定的」としたうえで、ニコチンを含むものについて受動喫煙による第三者への健康被害リスクを指摘し、公共施設での利用などを禁じるよう勧告する報告書を公表。同年11月には厚生労働省が、「ニコチンなし」の電子たばこの銘柄の一部の蒸気から、国産紙巻きたばこ1本分の主流煙の15倍を超えるホルムアルデヒドなどの発がん性物質を確認した、と発表した。
販売業者らによると、国内で流通している商品の多くは中国製や米国製。一部に粗悪な銘柄があるが、外見から見分けることは難しいという。
同年12月には、大麻成分を含んだ電子たばこ用溶液を米国から密輸入したとして、米国籍の男が警視庁に逮捕された。薬物事件に詳しい小森栄弁護士(東京弁護士会)は「海外では、大麻や危険ドラッグ成分入りの溶液も店頭で販売されている。国内の危険ドラッグ常習者が、取り締まりから逃れるために電子たばこを悪用する恐れもあり、違法商品が広まる前に手を打たなければならない」と警告している。
電子たばこ 果物やチョコレートなどのにおいがする人工香料などが入った溶液を器具で加熱し、発生した蒸気を吸引する。器具の相場は5000~2万円で、溶液は1か月程度使用できる1ケース(10ミリ・リットル)分で数百円ほどで売られている。