社会そのほか速
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◇守山で41回目
東日本大震災の発生から11日で4年を迎えた。県内でも犠牲者らの鎮魂を祈って法要やコンサートがあったほか、大津市は広域災害を想定した訓練を行い、災害派遣の初動態勢を整える手順などを確認した。(藤井浩、岡本久美子、池内亜希)
守山市内のホテルでは午後2時から、市内在住のチェロ奏者と妻らが企画した「東日本大震災メモリアルコンサート」があり、音楽愛好家ら約110人がバイオリンとピアノによるクラシック音楽に耳を傾けた。被災地支援のため震災8か月後の2011年11月から毎月11日に欠かさず開かれ、この日で41回を重ねた。
福島市出身で、大阪フィルハーモニー交響楽団に在籍経験があり、守山市浮気町に移り住んで35年のチェロ奏者、菱倉新緑さん(72)と妻、佳代さん(70)。震災後、被災地のために居ても立ってもいられず、音楽家仲間とコンサートを思い立った。近くのホテル「ライズヴィル都賀山」が会場を提供し、市民グループ「これから行動隊」文化部のメンバーもボランティアで協力を続けている。
コンサートは毎回、菱倉さんらが約1時間、披露。くつろいだ雰囲気と質の高い生演奏の評判が高齢者や主婦らに口コミで広がり、毎回70~100人が集まる。出演希望者も増え、今夏までの予定がすでに決まっているという。
この日は過去最多の聴衆が集まり、京都市交響楽団・相本朋子さんがバイオリン、華頂女子高講師・佐竹裕介さんがピアノ、菱倉さんがチェロを演奏し、エルガーの「愛のあいさつ」、バッハの「アベマリア」(グノー編曲)など8曲を披露。最後に「花は咲く」を会場の全員で歌った。
会場で寄せられた義援金は、別の市民グループ「ドリーム18会」園芸の会(11人)が栽培した有機無農薬の野菜を福島市内の保育園(園児約100人)に送る送料に充てられ、77回に上る。
佳代さんは「皆さんのご協力で続けてこられ、本当にうれしい。被災地に向けて『いつまでも忘れないよ』というメッセージを届けたい」と話した。
園芸の会代表の臣(おみ)康雄さん(77)は「丸4年たっても被災地に帰れない人も多い。ささやかでも現地で安心して食べてもらえるように野菜を送り続けます」と話していた。
◇ともす祈り 三井寺で法要
天台寺門宗総本山三井寺(園城寺、大津市園城寺町)では午後2時半から観音堂で、導師の福家英明長吏が「東日本大震災の犠牲者のために」と表白を唱え、僧侶11人で読経。参列者約70人が、ろうそくを献灯した。
参列した大津市の上田孝子さん(79)は「ろうそくを献じながら、津波の恐ろしさを思い出した。犠牲者のご冥福をお祈りするとともに、行方不明の方が、早く家族の元へお帰りになるように願った」と話していた。
同寺では、復興支援の一環として、福島名産の立子山凍(し)み豆腐の販売も行い、売り上げの一部を被災地に寄付する予定という。
また、天台宗総本山比叡山延暦寺(大津市坂本本町)でも、午後2時半から半田孝淳・天台座主の名代として毘沙門堂(京都市)の叡南覚範門主を導師に、約20人の僧侶が法要を営んだ。震災が起こった午後2時46分には、山内の鐘を一斉に鳴らし、参拝者に黙とうを呼び掛けた。
◇生かす教訓 大津で訓練
大津市消防局は、和歌山県沖を震源とする大規模な地震が発生したとの想定で、被災地に派遣する職員や機材などを手配する災害対応訓練を行った。
午前8時にマグニチュード8の地震が発生、大津市でも震度5強を観測したとの想定で実施。初動態勢に見立て、出勤時の職員は消防署や各部署の指定場所に集まり、活動計画に沿って災害対策本部を設置する手順や、庁舎の被害状況を確認するなどした。
その後、消防庁から緊急消防援助隊の出動要請を受け、同市のなぎさ公園に、災害支援車や救助工作車など8車両32人が集まり、一次隊を結成。県内の各隊が集合する場所に指定された名神高速道路の大津サービスエリアへ向かった。
東日本大震災の際、同消防局はのべ22日間、476人を派遣。自身も出動した堀広哉警防課長は「訓練を重ね、いつでも出動できる体制を整えるとともに、若い隊員らに現場の教訓を伝えていきたい」と話していた。