社会そのほか速
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ちょっとしたコンクリートの隙間から咲く花や、日の当たらない外壁に生えるコケなどは誰もが日常で目にする光景だろう。人が生活する街でも、いつでも自然の驚くべき力は息づいているものだ。それらがもし数十年もの間放置されたとしたら、いったいこの世界はどうなっていくのだろう。さまざまな国に広がる、そんな光景を追ってみた。
自然は文明よりはるかに揺るぎない。そんなことを思わずにいられない、地球の生命力を感じる写真9選を米国サイト「Bored Panda」よりお届けしよう。
ソレント/イタリア
山奥にあるかと思いきや、意外にも街の中心部にあるという製粉所の廃墟。最初に建てられたのは3,500年ほど前だという。1866年に人の手によって地形が変えられたため、使用不能になった。中を歩くことはできないものの、夜はライトがともされ谷の深さと廃墟の森の美しさに驚かされるという。
Jason Wallace
バション島/アメリカ
放置された自転車を取り込みつつ成長した木。苗が自転車を無視して伸びたのか、木に付けられた傷に立てかけられていたのかは分からないが、鉄でさえ木の力にはかなわないようだ。
Ethan Welty
詳細地不明/香港
密集した住宅街の中にそびえ立つ、廃屋と化したマンション。アスファルトの地割れから草が生えるように、コンクリートのビルからも木が育つ。人が住まなければこの地区一帯が森となるのは時間の問題だ。
Romain JL
詳細地不明/ベルギー
捨てられたヴィンテージ・カーが森に飲み込まれている。車の雰囲気からいって、50~60年ほど前のものだろうか。きれいに並べられた光景は、まるで高速道路に立ち往生した車が月日を経て自然に還っていったかのようだ。
Rosanne de Lange
南部のゴーストタウン/ナミビア
1956年に人々が去り、砂に埋もれつつあるナミブ砂漠の家。1900年初頭、この一帯はダイヤモンドの採掘作業員のために作られた居住区だったという。ドイツの町に似せて作られ、学校や発電所、病院、劇場などもあったそうだ。
Marsel Van Oosten
シドニー/オーストラリア
1972年より、シドニーオリンピックパークに隣接した川に放置されている船。1911年に造られ、第二次世界大戦中は物資輸送船として活躍していたという。現在、さび付いた船は豊かな緑で覆われている。
AndyBrii
アブハジア/グルジア
廃墟と化した鉄道の駅。天井や柱に施された装飾を見ると、かつては風格のある駅だったようだ。2008年の紛争より情勢の安定しないアブハジアだが、そんなことはお構いなく自然は再生を続けている。
Ilya Varlamov
プリピャチ/ウクライナ
1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故以来、立ち入ることのできないゴーストタウンとなった街。それから30年近くがたった今、有刺鉄線に囲まれた街には人知れず命が芽生えている。
castlemaineindependent.org
人が捨てたものであれ、犯した間違いであれ、自然は物も言わずに修復し続けている。それこそ、草木が伸びるように少しずつ、長い時間をかけて。地球に甘えて生きている人間は、まだまだ学ぶべき点が多いようだ。
このほかの「自然が文明に勝った瞬間」はオリジナルサイトを参照。
筆者プロフィール: 木口 マリ執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。