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米国で味のよさを売り物にした新興ハンバーガーチェーンが注目を集めている。30代までの若い世代に人気が高く、インターネットを駆使したイメージ作りも特長だ。米国の食文化のシンボルともいえるハンバーガー業界に君臨してきた最大手マクドナルドの不振が目立つなか、上場から一気に世界的ブランドに上り詰めたコーヒーチェーン、米スターバックスのようなサクセスストーリーへの期待が膨らんでいる。
1月30日のランチタイム。ニューヨーク市のウォール街に乗り付けた調理設備を備えた改造バスの周りに長蛇の列が出現した。この日、ニューヨーク証券取引所に上場した「シェイク・シャック」が無料ハンバーガーを振る舞ったのだ。
ニューヨークの高級レストラングループの創業者らが2004年に創業したシェイク・シャックは、脂ののった肉質の食べごたえのある味が人気。看板商品は1個5.19ドル(約622円)と大手チェーンより高価で、まだ国内外で約60店舗しか展開していないが、2月17日には16年の日本進出も発表した。
インターネット上の公式サイトなどには、ハンバーガーをほおばる顧客や楽しげに働くスタッフの写真が並び、都会的でおしゃれなイメージ作りに一役買っている。金融大手ゴールドマン・サックスは「ネット上で大きな存在感がある」として、若い世代の支持が成長につながると期待する。
味の良さをアピールする新興勢力はこれまでもあった。03年から拡大を加速させた「ファイブ・ガイズ」や07年創業の「スマッシュバーガー」などがその例だ。ハンバーガー以外でも06年に上場した「チポトレ・メキシカン・グリル」や1999年から展開を本格化した、サンドイッチやスープ、パスタなどの「パネラ・ブレッド」もある。
それでもシェイク・シャックが高い注目を集める背景には、これまで各社の挑戦を退けてきた最大手マクドナルドが14年通期決算で、「少なくとも1981年以来」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)の減収減益という不振をみせたことがある。売り上げの約4割を占める米国内の既存店来店客数は、前年比4.1%減と2年連続の減少。「マック離れ」の傾向があらわになり、安さや手軽さを重視するビジネスモデルの頭打ちも指摘される。
不振の要因に「食の安全」に対する意識の高まりがあると指摘する声もある。11年まで使っていた、化学的に殺菌された加工肉が「ピンク・スライム」と呼ばれてイメージを落としたことや、昨年発覚した中国の食品会社の期限切れ鶏肉使用問題などが顧客離れをもたらしているというわけだ。マクドナルドは今月1日にイースターブルック最高経営責任者(CEO)が就任し、巻き返しを模索している。
一方のシェイク・シャックは「抗生物質や成長ホルモンを使わない牛肉」や新鮮な食材を使っていることが売り物。商品のカロリーは低くはないが、ジョギングイベントを主催するなど、健康的なイメージ作りにも力を入れる。また拡大路線の結果として「ありふれた店」になることを避けるため、早い段階から米国以外への進出に力を入れ、出店地域を分散させる戦略を取っているとも分析されている。
全世界で2万1000店以上を展開するスターバックスも1992年の上場時には165店舗しかなかった。シェイク・シャックが「第2のスタバ」となって、ハンバーガー業界の勢力地図を塗り替えるシナリオも描かれている。(ワシントン 小雲規生)