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シャープ、産業強化法申請へ 現実味帯びる液晶業界の再編

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シャープ、産業強化法申請へ 現実味帯びる液晶業界の再編

 シャープ、産業強化法申請へ 現実味帯びる液晶業界の再編

 経営再建中のシャープは、国への産業競争力強化法の適用申請に向けた検討に入った。

  シャープはテレビや太陽電池事業などの業績悪化によって、2015年3月期の連結最終損益が300億円の黒字予想から、300億円以上の赤字に転落することをすでに発表している。

  足元ではテレビや電子デバイス関連の工場の統廃合、太陽電池からの撤退など事業の抜本的な構造改革を検討しており、改革に伴う支出を強化法の活用によって徹底して抑える狙いだ。

  強化法は、事業再編などによって競争力を底上げすることを目的に、14年1月に施行された。これまで、三菱重工業と日立製作所の火力発電システム部門の統合など16件の適用実績がある。

  適用を受けた企業は、資本金の増減などに伴う登録免許税の減免といった措置を受けることができるのが特徴だ。

  2年前の法案作成の過程では、シャープをはじめ当時窮地に陥った電機業界の活用をにらんでいた施策でもある。

  シャープは、今後再生ファンドからの出資受け入れによって、強化法の適用要件を満たし、税制優遇措置を受けたい考えだ。

  主取引銀行としても、国から事業再編に向けた「お墨付き」を得ることで、内外に改革をアピールできるメリットがあることから、シャープに対して強化法の活用を促している。

自主独立に透ける不安

  一方で、再編計画を認定する経済産業省にとっては、本来企業が負担すべき税金の減免をするため、小手先の再編計画では認定をすることは難しい。

  経産省は計画の認定にあたって、財務の健全性を高めるよう、借金など有利子負債をキャッシュフロー(現金収支)の10倍以内に抑えることなどを要件として求めており、そのための蓋然性の高い再編計画が必要になる。

  テレビ事業などの「部分最適」だけでなく、黒字の液晶パネル事業についても中長期的には再編は避けられないはずだが、シャープは液晶については改革に依然として消極的な姿勢だ。

  そのため、「全体最適」を考える経産省と計画策定の協議を進める中で、取引銀行と歩調を合わせるかたちで、液晶についても抜本的な改革を迫られる可能性がある。

  折しも、経産省は強化法の「50条」の規定を使い、石油業界に対して再編を促している最中だ。日本の液晶業界は、ライバル企業のジャパンディスプレイ(JDI)を含め、国際競争力の維持に不安を抱えており、50条が発動されれば供給過剰に陥る苦しい現状が一段と浮き彫りになる。

  その答えとして、シャープとJDIの部門統合というシナリオが、3年間の事業再編期間中に急浮上する可能性もある。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

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