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トヨタが2014年末に発表した燃料電池車「ミライ」。燃料電池車は二酸化炭素を出さない究極のエコカーといわれていますが、車の生産体制や水素ステーションの普及にはまだ時間がかかりそうです。ではなぜいま、トヨタは燃料電池車を発売したのでしょうか。
現状では効率よく水素を作れない
水素を使用した「燃料電池」という仕組みは新しくありません。水に電気を流すと水素が発生するということが発見された1801年から「水素から電気を作れるんじゃないか?」と考えられていたようです。それが初めて一般の人に知られるようになったのは、アポロ13号の事故。宇宙船の電源を確保するための燃料電池を搭載しており、そのタンクがトラブルを起したことがきっかけでした。
さて、燃料電池の仕組みは簡単です。外から取り込んだ空気(酸素)を薄膜のあいだに流し、水素と反応させると水と電気ができるという仕組みです。従って燃料電池車に搭載される燃料は「水素」で、排出されるのは水ということになります。
二酸化炭素など「地球温暖化ガス」は一切出しません。そんなことから燃料電池は、ECOパワーユニットの代表的な存在と考えられています。しかし、トヨタ「ミライ」の登場でそれが実用化されるかとなれば、実はそうでもありません。実際、燃料電池はダメだという識者も多数。皆さん根拠を上げ明確に否定します。
ガソリンスタンドに相応する水素ステーション不足や高額な車両価格についていえば、大量に作ることによりイッキに下がることでしょう。そんなことより一番大きな問題点は「水素をどうやって作るか」という燃料電池の根本に関わる問題だと、私は考えます。現時点で、効率よく水素を作れる技術はありません。
水素を作るとき大量の電力が必要だったり、天然ガスなどから熱で水素を取り出す方法だと少なくない量の二酸化炭素を出します。加えて「ミライ」の水素タンクは700気圧もあり、水素を圧縮するため電気自動車なら70km走れるくらいの電力が必要です。だったら電気自動車の方が効率良いということになります。
多くの仲間が必要な燃料電池
もちろんトヨタだってそのあたりの事情は100%認識しています。すぐ実用化されるとも考えていません。だからこそ「ミライ」と名付けたのであり、決して「アシタ」だと思っていないということでしょう。ミライといえば少なく見積もって20年。そのくらい掛かると覚悟しているワケです。…