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[東京 4日 ロイター] – 大和総研の武藤敏郎理事長(東京五輪組織委事務総長、元日銀副総裁・財務次官)は4日、都内で講演し、政府・日銀による2%の物価目標の実現はハードルが高く再考の余地があるとの考えを示した。今夏政府が示す財政健全化計画が市場でどのような評価を受けるかが課題とした。
<物価はゼロ、マイナスへ>
武藤理事長は、消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が「4月─5月にも前年比ゼロ%もしくはマイナスに転じる可能性がある」と指摘。大和総研の試算では2015年度の前年比は0.4%、16年度も1.1%にとどまる見通しで、「2%はハードルが高い」と指摘。「そもそも2%を目標とすべきなのか」との問題意識を示した。
2%の物価目標は先進国中央銀行の標準とされるが、「欧米の中央銀行も2%を目標として掲げるが、実現できていない」と指摘、「欧米中銀の政策運営スタイルも変わるかもしれない」との見解を示した。
日銀が1月の金融政策決定会合で15年度の物価見通しを昨年10月時点の1.7%から1.0%に引き下げた点について、2%の目標達成時期を事実上「1年先送りしたのがポイントだ」と解説した。
<日本経済に4つのリスク、トリプル安も>
財政健全化で政府が従来掲げている2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化計画の実現には(1)17年4月の消費増税に次ぐさらなる増税、(2)成長率の大幅な引き上げ、(3)歳出削減──が必要としたうえで、「17年4月の増税後の再増税は現実的ではない」として、実質的に歳出削減しか手段がないとの見解を示した。その上で「今夏の健全化計画が債券市場でどのように評価されるかが課題」とした。
日本経済をめぐる4つのリスクとして、「可能性は小さい」としつつ、1)米利上げによる新興国経済への悪影響、2)ウクライナなど地政学リスク、3)不動産市況などを引き金とした中国金融市場の異変、4)日本の財政を背景とした株・為替・債券安の可能性──を挙げた。
(竹本能文 編集:山川薫)
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