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中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡り、欧州の主要国や新興国が相次いで参加表明する「ドミノ現象」が起きている。参加国は40カ国を超える見通し。アジアでの影響力を巡り中国と綱引きをしている米国や日本は慎重な対応を求めてきたが、世界2位の経済規模を誇る中国の資金力やアジアの成長力に、実利を追う各国が吸い寄せられた。AIIBの仕組み作りに関わる「創設メンバー」の申請期限は31日。日米はなお距離を置くが、孤立感を強めている。
◇参加ドミノ発端は英国 人民元建て取引で優位築く思惑も
「AIIBは開放的だ」。中国の習近平国家主席は28日の演説で胸を張った。当初、新興国中心だったAIIBは、わずか1カ月で欧州各国などが駆け込み的に参加、一気に国際金融機関としての体裁を整えた。参加ドミノの発端は、米国と緊密な同盟関係にあるはずの英国が作った。
外交関係者によると、英国のオズボーン財務相ら一部の閣僚が外務省の反対を押し切って参加を決断。日本など主要7カ国(G7)メンバーには、約1カ月前に参加検討を通告した。英紙フィナンシャル・タイムズによると、参加を「申請」したのは金融立国のルクセンブルクの方が早かったが、中国からそれを聞いた英国が予定を前倒しして参加を「表明」。「欧州一番乗り」「G7で最初」の称号を得て、「中国に恩を売る狙い」(在英外交関係者)とみられる。英国の参加でAIIBは信用力や存在感が高まるため、中国はこの決断を評価した。
英国の狙いは、金融街・シティーを中国の通貨・人民元の世界的な取引市場にすることだ。中国は昨年6月、人民元の決済銀行を欧州で初めてロンドンに開設したが、欧州諸国を競わせるかのように独、仏などにも開設し英国の独走はならなかった。英国は将来、AIIBが人民元建てで資金調達を行う際の取引で優位を築きたい思惑もあり、中国との関係強化を重視したとみられる。
欧州勢の参加表明は「欧州諸国などもAIIBの生み出す巨大な未来を確信している証し」(ナジブ・マレーシア首相)と受け止められ、アジアのインフラ市場で存在感を発揮したい韓国や、アジア向け資源輸出を増やしたいオーストラリアもなびいた。米国への配慮より、実利を取った形だ。
資金不足に悩むアジア諸国にとっては、AIIBと、日米主導のアジア開発銀行(ADB)が融資を競い合えば、金利や融資期間などの条件で有利になる可能性がある。…