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中国は過去5年間で武器・装備品の輸出を143%増やし、ドイツを抜いて世界第3位の武器取引国になった。
このデータはスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がまとめたもので、中国の軍事面での影響力に対する諸外国の恐怖心を強め、隣国インドとの摩擦を激化させる公算が大きい。過去5年間における最大の輸出先は、インドの南アジアのライバルに当たるパキスタンで、中国からの輸出品の41%を購入した。
JF17戦闘機の前に集まるパキスタン空軍要員。広東省珠海で開かれた航空ショーで(2010年11月21日)=AP
SIPRIによれば、中国からの武器輸出の大半は近隣のアジア諸国向けで、世界の武器市場における中国の輸出のシェアは2005~09年の3%から10~14年の5%に拡大したという。
中国人民解放軍の退役大佐、岳剛氏は次のように話す。「パキスタンは何十年も前から中国と武器取引をしている。その理由の一つは、インドの怒りを買うことを恐れた多くの西側諸国がパキスタンへの武器輸出を拒んでいることにある。(パキスタンの)選択肢は限られており、必要に迫られて中国から買っている」
また、中国には政治的な「しがらみ」がライバルの国々に比べて少なく、どの国にも武器を販売できると岳剛氏は指摘。「中国は、買い手を政治的な観点で差別しない」と言う。
■まだ大きい米国、ロシアのシェア
中国の武器輸出は、上位の2カ国にまだ大きく水をあけられている。10~14年に行われた世界の武器取引において米国の輸出が占めるシェアは31%に達しており、旧ソ連が冷戦時代に築いた巨大な武器産業を引き継いだロシアも27%を占めている。
しかし、中国は軍事予算を近年急増させており、先進的な技術も採り入れていることから、中国製の武器の競争力は高まっている。そのため、武器の輸出を増やして輸入を減らすこともできるようになっている。10~14年の輸入は、それ以前の5年間より42%も減少している。
10年前には中国は世界最大の武器輸入国だったが、今日ではインドとサウジアラビアに次ぐ第3位となっている。また、武器の輸出は中国のシェアを高めただけでなく、政府によるハイテク兵器導入プログラムの資金捻出にも寄与した。ハイテク兵器の研究開発はもっぱら国の資金で行われている。
中国が10~14年に行った武器取引のうち最も実入りがよかったのは、JF17戦闘機50機をパキスタンに販売する契約だった。
JF17はパキスタンと中国成都飛機が共同開発した戦闘機で、組み立てのほとんどがパキスタンで行われた。SIPRIによれば代金は8億ドルだったという。パキスタンは昨年、110機を追加発注している。