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エボラ出血熱と同様、アフリカで多くの感染が確認されているマールブルグ病。いずれもひも状のフィロウイルスが原因となる感染症だが、九州大学などの国際グループは、これら2つのウイルスと結合して、体内への侵入をブロックする抗体を解明することに世界で初めて成功したと3日までに明らかにした。
西アフリカを中心に今もなお2万3000人以上に感染が広がるエボラ出血熱。マールブルグ病もまた、1967年に最初の流行例が報告されて以来、アンゴラやケニアなど、アフリカでの流行が後を絶たない。
九州大学の橋口隆生助教のグループは、米スクリプス研究所などとの国際研究で、マールブルグ病に感染したことのある患者の細胞から、免疫系の細胞の一種である「Bリンパ球」を取り出し、複数の抗体を抽出。その中から、マールブルグウイルスにも、エボラウイルスとも結合する能力のある「MR78抗体」を見つけ出した。
これら2つのウイルスが人体内に侵入する際には、ウイルス表面にある「GPたんぱく質」が、ヒトの細胞に結びついてウイルスを招き入れる働きをする。研究グループでは、「抗体MR78」がこのたんぱく質の侵入をブロックする様子を結晶化し、X線でその構造を原子レベルで解析することに世界で初めて成功した。
橋口助教は「抗体とGPたんぱく質が結合する構造を解析することで、2つの感染症の治療薬やワクチン、抗ウイルス薬を開発する手がかりが得られた。同じ抗体が2つのウイルスをブロックするという事実は、フィロウイルス科すべてに有効なワクチンの可能性を示した」と話している。
今回の研究成果については国際研究機関のたんぱく質データバンクに登録し、世界中の研究者が誰でも無料で閲覧できるようにした。なおこの論文は、米科学誌「Cell」に掲載された。