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今年の国公立大入試は難しかった。センター試験では新課程となった数学と理科をはじめ平均点が大きくダウンした科目が多く、東大では数学が難問だったといわれる。その結果、東大合格者の高校ランキングでは、開成が躍進して断トツとなり、公立高校が軒並みダウンした。
東大合格者数トップは34年連続となる開成(東京)。前期合格者は2012年の193人から、昨年149人へと大幅に減らしたが、今年は27人増の176人。2位で104人の筑波大附駒場(東京)を大きく引き離した。開成の高三学年主任、五十嵐裕教諭は言う。
「本校では文系も数IIIまで学び、数学が得意な生徒がほとんど。今年の東大の数学は難しかったため、そのことも合格者が増えた一因かもしれません」
やはり前年から19人増の32人と躍進した渋谷教育学園渋谷(東京)。高三学年主任、河口竜行教諭が話す。
「以前は、中3から英語と数学は習熟度別授業を行っていましたが、現高3生からはあまり学力の差がなく、習熟度別授業をしませんでした。みんな仲がよくて、勉強を教え合い、とても雰囲気がよかった。『この大学に入ってこんな勉強をし、将来はこういう職業につきたい』という目標を持ち、切磋琢磨(せっさたくま)していました」
一方で、公立は合格者を減らした学校が目立つ。今年の東大入試は公立に厳しい壁が二つあったようだ。
一つ目はセンター試験が難しかったこと。駿台予備学校進学情報センターの石原賢一さんが解説する。
「センター試験は、数学II・Bと理科が難しかった。特に理系が受けた理科(2)は、初めて全範囲から出題される2科目の受験で負担が重かったうえ、化学と生物の選択問題はいずれも教科書の最後で学ぶ分野から出題されました。高2までに全範囲を終えるのが一般的な中高一貫校に有利で、公立高校では演習問題をやりこむ時間がなかった」
二つ目は東大の2次試験の数学が難問だったこと。
「特に第6問は、最難関の理IIIの受験者以外は解かないほうがいいと思われるほどの難問。数学が得意な生徒が多い、中高一貫校に有利でした」
今年の東大の前期日程の志願者は、昨年より29人増の9444人で、倍率は昨年並みの3.1倍だった。科類別では、文I、文II、理Iが増加した一方、文III、理II、理IIIが減少。特に文IIIでは第1段階選抜(門前払い)が行われなかった。
この志願状況について、石原さんはこう話す。
「15年入試は、国公立大も私立大も『理高文低』が沈静化し、医学部と薬学部の志願者が減った。東大もその傾向があてはまった。文IIIが減ったのは第1段階選抜の予想ラインが高く、敬遠されたからでしょう」
(庄村敦子)
※週刊朝日 2015年3月20日号より抜粋