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タイ人の若い女が覚醒剤を密輸する事件が全国で相次いでいる。福岡空港では昨年10月以降、5人が逮捕された。いずれも密輸組織が貧困にあえぐ女性を報酬などで誘い「運び屋」にしている構図が浮かぶ。格安航空会社(LCC)の就航や査証(ビザ)免除などでタイからの入国者数は増加傾向にあり、捜査当局が警戒を強めている。【前谷宏、野呂賢治、黒澤敬太郎】
3月30日午前9時ごろ、タイからの航空機で福岡空港に到着した若い女に、門司税関の職員が目を留めた。タイ国籍の無職、シャンエン・ナタリー容疑者(30)。九州や中国地方を巡る団体ツアー客の1人として到着したが、言動に不審な点があった。
スーツケースの中を調べ、トマトペーストの缶詰を手に取った職員は中身が粉状のものだと直感した。X線検査し、3個の缶詰の中に隠した覚醒剤計約1190グラム(末端価格約8300万円相当)を発見。福岡県警と門司税関が覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で逮捕し、今月17日発表した。
3月10日に同空港で逮捕された29歳と28歳の女の場合は、体内から避妊具などに入れた覚醒剤がそれぞれ約200グラム(計約2800万円相当)見つかった。捜査関係者によると、容疑者の1人は「タイで頼まれた」と容疑を認め、報酬は1人5万〜10万円程度だったと話した。タイ人の若い女による同様の事件は新潟空港(昨年7月)や中部国際空港(同10月)など全国で相次いでいる。
財務省によると、航空機旅客による覚醒剤密輸事件は昨年、過去2番目に多い126件。国籍別ではタイ人が前年の2件から30件へと急増し、これまで1位だった日本人を抜いて最多になった。摘発されたタイ人は30人のうち29人が女で、その中の25人が20〜30代。12人が体内に隠すケースだったという。
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タイからの密輸が急増する背景として税関関係者らが指摘するのが、入国者数の増加と密輸ルートの変化だ。
日本政府は2013年7月から、タイ人観光客誘致のため15日以内の滞在に限りビザを免除している。タイから地方空港などへのLCCの就航もあり、日本政府観光局によると、昨年のタイ人入国者数は65万7570人と前年より45%も増えた。
そうした中で「タイは東南アジアに流れる覚醒剤の中継基地になっている」と、薬物事件に詳しい小森栄弁護士(東京弁護士会)は話す。10年以降の覚醒剤密輸摘発件数を発送地別でみると、10〜11年に全体の4分の1を占めていたアフリカが昨年は8%に低下。…