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経済産業省が28日示した2030年の電源構成案。東京電力福島第1原発事故でいまだ11万人以上が県内外に避難している福島県では、再生可能エネルギーを生産する地域電力会社が相次ぎ発足しているが、政府案は原発再稼働を前提としているだけに落胆の声が相次いだ。
全村避難が続く同県飯舘村。原発に頼らず、村の自然を活用してエネルギーを地産地消しようと村民らが出資して設立した「飯舘電力」の小林稔社長(62)は「あれだけの事故を起こしたのに、まだ原発に頼るのか」と嘆いた。
同村は原発事故で田畑や森林、畜産など生活の糧を失った。小林社長も震災前はコメを作りながら「飯舘牛」と呼ばれるブランド牛を育てていたが、現在は同県喜多方市で避難生活を送る。「いずれ避難指示が解除されて村に戻る時、どう暮らせばいいか」。そう考えて昨年9月、「村民の、村民による、村民のための発電所」をキーワードに飯舘電力を設立。今年2月には村内に設置した太陽光発電所で売電を始め、今後は風力発電やバイオマス発電にも取り組む方針だ。小林社長は「時間がたてば、事故当時の記憶や、被災地のことは忘れられてしまうのか」と政府を批判した。
飯舘電力に先行して13年8月、喜多方市で市民が出資して設立された「会津電力」の佐藤弥右衛門社長(64)も「国の『原発ありき』はまったく理解できない」と首をかしげる。
同社は昨年10月、大規模太陽光発電所を稼働。現在は計23カ所に太陽光パネルを設置し、今年度見込む発電量は約700世帯分の223万キロワット。今後もさらなる発電量の拡大を目指している。佐藤社長は「国は原発を使わない前提で電源比率を考え、再生可能エネルギーを導入するスピードをあげるべきだ」と訴えている。【横田香奈、岡田英】