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◇「シルバー民主主義」に懸念
選挙権年齢の下限を20歳から18歳に引き下げる方向へ国政が動き出した。早ければ来年夏の参院選で高校生の一部が選挙で一票を投じる。改正の背景には、若い世代の投票率の深刻な低下がある。
過去の衆院選について全体と20代の投票率を比べると、両者とも低下する傾向にあるものの、20代の投票率は常に全体を下回る。しかも、その差は1967年には7ポイントだったが、2014年には20ポイントに拡大している。
さらには、少子高齢化で有権者に占める若い世代の比率自体も減少していく。15年後の30年、30代以下は全体の23.5%に低下する一方、60代以上は45.2%と半数近くを占めることになる。こうした中、数が多く投票率も高い高齢層世代偏重の「シルバー民主主義」への懸念が強まっている。
国会に5日提出された公職選挙法改正案が成立すれば、16年には約240万人の未成年が有権者に加わる。だが、シンクタンク「ニッセイ基礎研究所」の試算では、下限を18歳としても、30年には有権者に30代以下が占める割合は25%に低下する一方、60代以上は44%に達する。
同研究所の中村昭保険研究部長は、「もっと大胆な制度を導入し子育て世代の発言力を高めないと、シルバー民主主義の懸念は解消されない。今回の改正を機に国民的な議論を盛り上げていく必要がある」と話す。
海外では18歳以上に選挙権を与える国が多く、成人年齢も選挙権にそろえるケースが多数派だ。国民投票法の付則は、公選法とともに民法の成人年齢引き下げも宿題としており、「遅くない段階で検討すべきだ」(公明党・北側一雄副代表)との声も出ている。
衆院憲法審査会事務局の資料によると、選挙権年齢のデータがある191の国・地域のうち9割以上の176の国・地域で18歳に選挙権を与えている(16、17歳も含む)。欧米諸国ではほぼすべての国・地域が18歳。オーストリアでは07年6月に欧州連合(EU)加盟国としては初めて国政選挙の選挙権を16歳に引き下げた。アジアでは18歳としている国がある一方、韓国が19歳、シンガポールやマレーシアでは21歳などまちまちだ。【鈴木泰広、笈田直樹】