プロ野球がキャンプインしてから、9年ぶりに日本球界に復帰したソフトバンクの松坂大輔に電話をしてみた。
横浜高校を退任した私は現在はフリー。松坂を激励したいと思った。
「宮崎におまえを見に行くよ」
「来てください!」
松坂はこう言ってくれたものの、宮崎がちょっとしたフィーバーになっているようで躊躇している。
当初は報道陣が100人近く張り付き、サインをしようにもファンにもみくちゃにされているようなのだ。
一挙手一投足が注目される。衆人環視というのは、普通の神経なら参ってしまう。
ただ、高校時代からフィーバーには慣れている。注目されて夜も眠れない、なんてタマではない。そこは心配していないが、肝心の投球のデキが悪い。
ブルペンでフォーム固めに取り組んでいる様子をテレビで見る限り、投げる時に顔が上を向いてしまっている。
テークバックに入る過程で両手を広げた時、右肩も下がっている。メジャー時代の悪い松坂だ。
左足を上げようかという段階ですでに右肩が落ちている。これでは球持ちが悪くなる。
肩のラインは平行に近い形が理想。トンボなどの長い棒を首の後ろに通して投げてみると、いかに傾いているかがよく分かる。
松坂の球威を生み出す秘訣は「左足」にある。本人も踏み出す足を気にしているようだ。
左足のつま先を三塁側に向けて着地し、リリースの瞬間にグッと左側にねじることで爆発力が出る。
マウンドが硬い米国時代は、「スパイクの刃が土に入らない」とよく嘆いていた。
日本のマウンドなら刃が刺さる。が、着地したつま先が三塁側に向き過ぎている。
これはクロスステップに似ていて、ねじる作業が大きくなると、体が苦しくなって右ひじが下がる。悪循環に陥っているのだ。
最初の休日にチームメートの内川聖一や中田賢一らとゴルフに行ったという。
オフに松坂と一緒にラウンドをする機会があるが、ゴルフは松坂の独壇場。
ドライバーの飛距離は常時320、330ヤード。時には350ヤード近く飛ばす。100ヤードも置いていかれるので、松坂とは勝負にならない。
人懐っこいから、新天地にはすぐに馴染めるだろう。高校時代も「オレが松坂だ」と偉ぶることもなく、レギュラーより補欠の選手と仲良くしていたのを思い出す。
悩んでいるのは投球フォームだろう。米国時代に染み付いた悪い癖がなかなか抜けない。私が言わなくても本人が一番分かっているはずだ。
11日のブルぺン投球をテレビで見たら、だいぶ改善されているように感じた。ただし、悪癖が完全に修正されなければ、厳しいと言わざるを得ない。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/157202
2015年2月15日
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佐藤コーチとフォーム固めに取り組む松坂/(C)日刊ゲンダイ