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阪神・淡路大震災の被災者向けに供給された「借り上げ復興住宅」。住み続けたいと願う住民にも今年9月以降、20年の退去期限が順次訪れる。3日に告示された統一地方選挙は、同住宅の問題が議論される絶好の機会だが、候補者から訴えを聞くことは少ない。住民は期待とあきらめの心境の間で揺れている。(高田康夫)
借り上げ復興住宅は、兵庫県と神戸、西宮など5市に、ピーク時で約7千戸あり、2月末現在、4272世帯が暮らす。入居時に行政側が20年後の返還を十分に説明していなかったケースも多い上、自治体ごとに継続入居の条件なども違い、期限が迫る住民らは不安を募らせている。
3月の神戸市議会都市防災委員会。神戸市兵庫区の借り上げ復興住宅で暮らす安田秋成さん(89)は「転居通告が衝撃となり、体調や病気を悪化させて死亡する者が続出している」と議員に訴えた。
継続入居を求める請願を市議会に提出。これまでも陳情を出し続け、委員会での口述は4回目だ。結果は、これまでと同様に「審議未了」で打ち切られ、採択、不採択の結論も出ない状況が続く。「現状を知って判断してくれれば、賛否どちらでも理解はできる。ただ、調べに来てくれる議員はわずか」と嘆き、「暮らしの根底が崩れる問題。市民の生活に向き合ってほしい」と候補者に求めた。
4月、西宮市の借り上げ復興住宅の空き部屋で、内装の改修工事が始まった。退去期限は県内で最も早い今年9月末だ。
「どうするのが一番いいのか」。独り暮らしの女性(76)は悩む。震災前からこの地域で暮らし、働いてきたため知り合いは多い。息子もすぐそばに住んでおり「ここを離れて暮らせば引きこもってしまう」と感じる。
同市から、期限内に退去しない場合は法的措置を取る-との通知も来た。「裁判しても費用は借金。この年齢で返すのは難しい。まして負ければ…。本当に生きているのが申し訳なくなる」
そんな苦境でも、選挙には「あきらめ的な感じ」とし、「誰が議員になっても力が届かないと思う」とつぶやいた。