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[サンフランシスコ/ニューヨーク 17日 ロイター] – 米アップル<AAPL.O>が計画しているオンライン・テレビ(TV)サービスは、メディア企業への売り込みに苦労することはなさそうだ。同社のiPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)が、視聴者の減少に悩むメディア業界に新たな成長をもたらす製品だからだ。
スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)など携帯端末で動画を見る人が急速に増え、携帯ネットワークがより高速になり信頼性も向上する中、オンラインTVサービスが近い将来メインストリームになる準備は整いつつある。そして、メディア企業にとっては見逃すことのできない機会が生まれている。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は16日、複数の放送局がアップルのオンラインTVサービスとの契約に関し協議していると報じた。このような協議については何年も前から報道されていたが、WSJはアップルが今秋の立ち上げを計画していると伝えた。アップルと放送局はコメントを控えた。
米動画配信サービス大手のネットフリックス<NFLX.O>やアマゾン<AMZN.O>の動画配信サービス「プライム・インスタント・ビデオ」のおかげで、視聴者はオンラインストリーミングに満足するようになっている。ソニー<6758.T>や衛星放送大手ディッシュ・ネットワーク<DISH.O>も参入を準備するなど、既存メディアも後に続こうとしている。
だが、アップルのサービスはこれらとは一線を画するものだ。同社には巨大な顧客ベースがあり、スマホやタブレットと連携した機能を提供することができる。
「機は熟した」。BTIGリサーチの著名アナリスト、ウォルター・ピエシク氏はこう話す。「新しい世代は、液晶スクリーンを目の前に掲げて動画を見る経験とともに成長している」
同氏はさらに「ケーブルテレビ会社は自社で技術を迅速に開発することができなかったため、アップルには低価格で高機能を実現する余地が残っていた。それだけでなく、ソファで50インチのテレビを見る時はこの方が便利だ」と述べた。
試算によると、アップルは米国内に約1億人のアクティブなアイフォーンユーザーを抱える。重複部分はあるものの、この数字はおおまかに言って米国の有料テレビ市場と同じ規模だ。
これに比べ、ブロードバンド加入者で、有料テレビの視聴環境を持たない人は1000万人しかいないと、バーンスタインのアナリストであるサッコナギ氏は言う。ウェブTVの最優先ターゲットとみられる層だが、一部のコンテンツ会社にとっては十分な規模とはいえないかもしれない。
サッコナギ氏は「コンテンツ供給業者にとって、ウェブTVしか視聴環境のない層を引きつけるために、有料テレビ視聴者層からの売り上げを危険にさらすことは愚策だろう。有料テレビ視聴者が必ず減少すると考えているなら別だが」とコメント。「これらの問題は、アップルTVにとって最大の障害になり得る」との見方を示す。
とはいえ、有料テレビの視聴件数の伸びが何年も前から頭打ちとなっており、放送局やケーブルテレビ会社は危機感を持っているとの見方もある。
モフェット・ネーサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は「有料テレビのビジネスモデルには、今や経済的圧力がのしかかっている。これまでのやり方はもはや通用しない。メディア企業は初めて、新しい戦略を打ち出す必要性に迫られている」と話した。
(Jennifer Saba記者、Edwin Chan記者 翻訳:田頭淳子 編集:加藤京子)