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ニホンウナギは、太陽や月の光を感知して、夜は深海でも比較的浅い場所を泳ぎ、昼は比較的深い場所に移動していることが、水産総合研究センターなどのチームの研究で分かった。これらの行動パターンから泳ぐ場所が推定できるため、これまで謎だった産卵場への回遊ルートの解明につながるという。15日付の米科学誌プロスワンに掲載される。
ニホンウナギは、国内の川や湖などで成長した後、海を数千キロ移動し外洋で産卵することが分かっている。
チームは2010年に親ウナギの産卵場である太平洋のマリアナ海溝付近で、12年には日本近海で、超音波発信器を取り付けた天然ウナギ計11匹と養殖ウナギ計5匹を放流し、漁業調査船で追跡した。発信器を通して、ウナギが泳ぐ場所の水深や水温などのデータを収集。船上では、太陽光の照度を観測し、ウナギが泳ぐ深さとの関係を詳しく調べた。
その結果、天然ウナギは日の出約1時間前に深く潜り始め、昼間は水深500~800メートルの深海で泳ぎ、太陽の照度が高いほど深い場所で遊泳していた。その後、日没とともに浮上を始め、水深150~300メートルの比較的浅い場所で泳いでいた。養殖ウナギにはこうした行動はみられなかった。昼は外敵を避けるために深く潜るが、深い場所は水温が冷たいため、夜は比較的温かい浅い層で泳ぐと考えられるという。
今回分かった行動パターンから、ウナギが泳ぐ場所の日の出や日の入りの時刻を把握し、それを基に緯度や経度を計算。ウナギの位置を推計したところ、実際に追跡した場所とほぼ一致した。チームの張成年・中央水産研究所主幹研究員は「深い海でも光を感じる高感度なセンサーを目に備えていると考えられる。泳ぐ深さのデータをもっと多く集めれば、回遊ルートを把握できる可能性がある」と期待する。【下桐実雅子】