社会そのほか速
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樹氷の家は温泉街から離れたスキー場中腹にあり、1957年に開業した。5階建て全79室に、最大で350人が宿泊できる。「ゲレンデの中にあるホテル」が売りで、収容人数や立地の良さから修学旅行やスキー教室といった教育旅行の団体が主な客層だった。
樹氷の家によると、「お釜」の水面が白濁するなど火山活動の情報が広まった昨年10月以降、宿泊客が激減した。降雪後も傾向は変わらず、毎年予約が入っていた常連団体の利用見合わせ、キャンセルが相次ぎ、今季の売り上げは昨季の半分を割り込んだという。
東日本大震災の影響が薄れて客足が戻りつつあり、今季は畳を入れ替え、布団などを新調したばかりだった。武田義和支配人(55)は「これから新たな出発だと思った直後の出来事。いつ事態が収束するか分からないまま、客のいないホテルを動かし続けるわけにはいかない」と唇をかむ。
廃業は火口周辺警報(火口周辺危険)が出された13日以前に決めた。大型連休後の5月にホテルを閉める予定で、創業時からロビーに置いていたグランドピアノの解体も始めた。
近くのホテル経営者は「団体客メーンの宿だけに、打撃が大きかったのだろう。警報後、うちでもキャンセルが相次ぎ人ごとではない」と表情を曇らせる。
警報の警戒範囲は想定火口域の周囲1.2キロで、温泉街はさらに4、5キロほど離れている。蔵王温泉観光協会の伊藤八右衛門会長(66)は「観光客の安全確保には万全を期している。どうすれば正確な情報を伝えられるのか、知恵を絞りたい」と話している。