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警察官たるもの、タフな体と優しいハートの持ち主であってほしい。2万人を超すニューヨーク市警のみなさんは今、トップのそうした願いのもと懐かしのハリウッド・アクション映画を鑑賞させられているそうだ。
『nypost.com』が伝えているところによれば、ハリウッド俳優パトリック・スウェイジ(すい臓がんにより2009年に57歳で死亡)が主演した1989年のクライムアクション映画『ロードハウス 孤独の街(原題:Roadhouse)』を職場の研修に活かしているのが、ニューヨーク市警(NYPD)。スウェイジ演じる“ダルトン”という主人公から人としての礼儀作法を学んでほしいとして、約22,000名を対象とした3日にわたる「再教育コース」で、その作品を上映したそうだ。
映画でマーシャルアーツを得意とする凄腕用心棒のダルトンは、チンピラの温床となって荒れている“Double Deuce”というバーの立て直しのために活躍する。質の悪い客や従業員を相手に苦戦を強いられるが、彼は「良い人間でありたい」、「顔面をつかまれ罵声を浴びられても、それでも良い人間でありたい」、「暴漢には目の前から立ち去るよう促し、良い人間でいるためにも自分は冷静沈着でいよう」という3つの心得を大切にした。ところがダルトンはある時、「あくまでも良い人間であり続けよう、堪忍袋の緒が切れるぎりぎり限界までは」と口にし、能ある鷹は爪を隠すとばかり、いったん火がついたそのマーシャルアーツは無敵であった。
なんと素晴らしいお手本、これこそが警察官たる者の心がけだと教官は言いたかったようだが、同メディアの取材に研修を受けている警察官は「ハリウッドが作ったただの映画。実際の犯罪現場でこんな悠長なことやってられませんよ。上映中は誰もが居眠りしています」と答える始末であった。またその研修では「怒りがこみあげて来た時こそ深い呼吸を」と説明され、目をつむってゆっくりと息を吐き…と深呼吸の練習をもさせられたという。
実はこの“イイ人であるよう努力を”という教育は、昨年7月に起きた「エリック・ガーナー窒息死事件」がきっかけとなって警察官の再教育に組み込まれたものであった。NYスタテン島で煙草販売の脱税が疑われたガーナーを、警察官は複数で地面にねじ伏せ絞め技をかけ、それが執拗であったためガーナーを窒息死させた。国家権力を傘に着て、警棒と拳銃を武器に怖いものナシの血気盛んな連中などと批判されることが多いNYPDだけに、たまには“気は優しくて力持ち”を意識してみるのも良いのかもしれない。
※ 画像はnypost.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)