社会そのほか速
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起業して働く女性の姿が目立っている。
好きなことを仕事にできるうえ、働く時間や場所を自分で決められ、育児や家事と両立しやすいためだ。行政の支援策も充実し、始めやすい環境が整ってきた。
「子どもが学校にいる間や寝た後に仕事ができて、今の働き方は便利」と笑顔で話すのは、まるやまいずみさん(46)。コンサートのチラシなどを制作する「デザイン工房まある」を、昨年4月、さいたま市で起業した。チラシの色を曲のイメージに合わせるなど丁寧な仕事が評判だ。
大手メーカーでデザインを覚えたが、2003年に結婚退職。その後、趣味の合唱仲間の依頼でチラシを作り始めた。「音楽もデザインも好きな自分に合った仕事」と、起業を考えた。その際、世話になったのが、埼玉県がJRさいたま新都心駅近くに設けた女性起業支援ルーム「COCOオフィス」。月5140円で、室内の机を借りて作業したり、中小企業診断士らから助言をもらえたりする。
まるやまさんは起業前、「チラシ作りでお金をもらうのは申し訳ない」という思いもあった。だが、「事業の継続には利益が必要」と教えられ、代金をきちんと受け取る気になった。
埼玉県は12年、女性が働きやすい環境を作る専門部署として「ウーマノミクス課」を設置。就業支援の一環として起業支援にも力を入れ、COCOオフィスや女性起業家向け融資制度などを用意した。
自治体が女性の起業を手助けする動きが目立つ。横浜市は昨年10月、JR・横浜市営地下鉄戸塚駅構内に「クレアズマーケット」という商業スペースを新設。女性限定で、10平方メートルを月2万5000円で貸す。「自分の商品が売り物になるか、事前に見極めたいという女性の声に応えた」と同市経営・創業支援課。
現在は3店が営業。うち1店が、生花そっくりの高級造花を並べた「フラワースタジオ ボヌール」だ。代表の桜井ひろみさんは、昔からフラワーアレンジメントが好きで、「いつか自分の店を」と考えていた。昨年7月、百貨店内の造花店を退職。独立に向け、ここでの店舗運営を選んだ。「お客様と話して、どのような花が求められているのかわかってきた。店を開く参考にしたい」と意気込む。
起業を考える女性の「起業した先輩の話を聞きたい」というニーズに対応したのは、千葉県市川市。今年度から、起業を目指す女性と女性起業家との交流会を毎月1回開いている。
兵庫県は13年、起業する女性に、事業を始める資金として100万円を上限に補助する制度を作った。
国も昨年10月、女性が仕事や子育てしやすい社会を作るための施策集「すべての女性が輝く政策パッケージ」に、「起業の機会を拡大するための環境整備」を盛り込んだ。今後、具体的な起業支援策を検討する。
専修大教授の鹿住倫世(かずみともよ)さん(企業家活動論)は、「仕事を管理する経験が乏しかったり、出産や育児で仕事から離れるブランクがあったりと、男性とは違うキャリアの女性は少なくない。起業にはよりきめ細かい支援が必要だ」と指摘。また、「子どもを預けて働けるように、起業家向けの貸しオフィスの近くに保育所を作るなど、自治体ならではの支援策も求められている」と話している。
どうすれば起業の第一歩を踏み出せるだろうか。
女性の起業を支援する「WWB/ジャパン」(東京)代表の奥谷京子さんは、「好きだから続けられると思えるように、とことん好きな分野で起業することが何より大切」と助言する。
何をやるかが決まれば、次は行動。起業家や経営者との交流会が各地で開かれているので、積極的に参加し、ビジネスプランや協力してもらいたいことを話してみよう。助言を受けたり、人を紹介してもらえたりすることもある。「WWB/ジャパン」も24、25日、交流会を都内で開く。
資金面の準備も大事。成功するとは限らないため、初期投資の金額は抑える。自分の事業をフェイスブックなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログで発信すると、ファンができたり、口コミで広がったりする効果が期待できる。
奥谷さんは「常に100%以上の力を出し、事業のことを24時間考えないといけないのが起業。それでも喜びを感じられるなら、起業に向いている」と話す。(吉田尚大)