社会そのほか速
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今回は、日本で決して人気が出そうもない携帯のアプリケーションをご紹介したいと思います。
それはLife360。2008年に起業し、グーグルを含めた様々な投資家からこれまでに1000万ドル近い資金調達をしてきたサンフランシスコにあるベンチャーが作っているアプリです。
Life360は家族コミュニケーションアプリで、家族が、互いの現在地をリアルタイムで把握したり、簡単にメッセージを送ったりできる、というのが売りです。
Life360を携帯にインストールして自分の家族のネットワークに登録すると、いつでもどこでも家族のいる場所をLife360の地図上で確認できます。家族の位置情報は、Life360が定期的に家族全員の携帯の場所をチェックして表示。とはいえ、最新のデータがあるとは限りませんので、「今この一瞬の場所が知りたい!」という時は、知りたい家族のアイコンをタップして、次の画面にあるUpdateボタンをタップすればOK。
相手が知らない間に相手の場所をチェックするのはちょっと強引、と思う場合は、Check-in Requestというボタンもあります。これをタップすると、相手の携帯に「今いる場所でチェックイン(登録)して」というリクエストがテキストのメッセージで送られます。家族がいた場所の履歴を一覧で表示することもでき、「今日、家族はどこでどれくらい過ごしたのか」ということが簡単にわかります。
さらに、家族間でメッセージを送り合うことも可能。「Running Late(遅れる)」「On my way(向かっているところ)」「Got to school(学校到着)」の3つがボタンとしてあり、この3つのメッセージであれば、それをタップするだけで送信可能。それ以外のメッセージを自由に入力することもできます。
また、家族間のコミュニケーション以外でも、司法省が公開している近隣の性犯罪者を見たり、警察が公開している過去の事件を発生地から確認したりすることもできます。(米国では、性犯罪者は10年以上または生涯にわたって現住所を登録する義務があります。)
以上は全て無料で利用でき、さらに月5ドル払ってプレミア会員になると、非常時にワンタップで「アドバイザー」と呼ばれる人に連絡ができ、その人経由で警察や救急に連絡をしてもらうなど、様々なサポートを受けることができます。
最初に承認し合った相手としかつながることはできませんし、個々の家族ごとに閉じたネットワークなので「子供が、知らない間に別の人ともつながっていた」ということはありません。
さて、以上でおわかりになると思いますが、Life360では同じネットワークに登録している家族間のプライバシーは無いも同然です。携帯を持っている限り自分のいる場所を隠すことは不可能。GPSがある限り世界中どこでも使えますので、海外出張中でもこまごまとした行き先が把握できます。
そんな恐ろしいアプリなわけですが、アメリカの一般家庭の日常生活では極めて便利です。というのも、車社会のアメリカでは、子供はどこに行くのも親が運転して連れ回さなければなりません。朝、学校に送り、午後、学校でピックアップしてスポーツやらお稽古ごとに連れて行き、またそこからピックアップして家に連れてくる、といったことを毎日毎日繰り返しているのがアメリカの日常です。週末も、やれスポーツだ、友達の家だとあちこちに連れ回って一日が終わります。共働きの家も多いので、誰が送って行くのか、誰がピックアップするのか、といった役割分担が常に必要ですし、子供が複数いると、親も手分けして運転手役をこなすことになり、なかなかハードな日々となります。
中学生くらいになったら自転車で学校に行けばいいんじゃないの?と日本育ちの私は思うのですが、これを言ったところ、アメリカ人に鼻で笑われました。「そんなオタクなことできない」そうです。日本の公立校に行っていた感覚だと、親の自動車で送ってもらう方がずっと恥ずかしい気がするのですが、全くそうではない模様。親は大変です。
Life360は、そんなアメリカの日常生活をサポートするアプリで、既に2500万ダウンロード。日本でも、「子供の居場所が一方的に親にわかる」というのであればそれなりにニーズはあるかもしれませんが、親の場所も含めて全員の場所がわかってしまうのは中々ハードルが高そうですね。