社会そのほか速
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小学生の頃から昆虫や熱帯魚が好きでした。
運動神経に自信がなかったので、私立麻布中学・高校(東京都港区)では、生物部に所属していました。
恒例の野外観察合宿。顧問の先生はついてきますが、計画や運営は生徒が行います。中1の夏、赤岳(長野、山梨県)で10日間のテント生活に参加しました。
合宿3日目、キャンプ場に両親がいるのに気づきました。心配で様子を見に来たのですね。ほかの部員からは「なんでお前のお母さん来ているんだよ」と冷やかされ、僕は恥ずかしかった。そうしたら高校生の先輩が両親に「生徒が自主的に行う合宿なので、遠慮してほしい」と、注意してくれたのです。誇りを持って下級生を引率する先輩を尊敬しましたね。
沖縄県・西表島での合宿では、イシガケチョウなど美しいチョウに出会い、すっかり魅了されました。ところが、観察に夢中になりすぎて、バスの最終便を逃してしまったのです。周囲は真っ暗。みんな真っ青になりました。通りがかりのトラックに拾ってもらい、宿までたどり着けました。自由には、自己管理や責任も伴うのだと学びました。
高校では2年かけ、近くの有栖川宮記念公園で植生を調査し、公園のジオラマも制作しました。専門家が見れば、得られた成果はたいしたことがなかったかもしれません。それでも、リーダーとして成果を出せたことが誇りになりました。
中高生には、ぜひ「背伸び」をしてほしい。一生懸命、背伸びをしていると、いつか本当の身の丈になるのです。生物部で力いっぱい「背伸び」をできた体験は、僕の大切な財産です。(聞き手・伊藤史彦)
(2014年9月25日付読売新聞朝刊掲載)