社会そのほか速
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3月11日からアメリカ・インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(WTAプレミア・マンダトリー/ハードコート)の女子の目玉は、14年ぶりにこの地へ戻って来たセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)だ。トッププレーヤーの出場必須の大会に過去13年間欠場し続けたのには、もちろん理由がある。
2001年、セレナと姉のビーナス・ウイリアムズは準決勝で対戦するはずだったが、直前になってビーナスが腱鞘炎で棄権。当時、ウイリアムズ家は決勝以外での姉妹対決を嫌っていたため、ビーナスの棄権の理由は怪しまれ、「試合を軽視している」との批判も渦巻いた。 そんな中、翌日キム・クライシュテルス(ベルギー)との決勝に登場したセレナや、ファミリーボックスに現れたビーナス、父親のリチャードに観客は激しいブーイングを浴びせたのだ。当時19歳にして2度目の大会優勝を飾ったセレナの快挙に対しても、歓声とブーイングが入り交じった複雑な反応だった。ウイリアムズ家はその仕打ちが黒人差別に基づくものだと主張した。そして、以来この地には家族の誰もが二度と足を踏み入れていなかった。ウイリアムズ一家のボイコットである。
だが、セレナは「戻るなら今」と判断し、姉のビーナスの心変わりを待たず、母とともに苦い思い出の場所に戻って来た。頑なだったセレナの心を溶かしたのは、一昨年末に亡くなった南アフリカ初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ氏の自伝だったという。憎み合わず、許し合うことの大切さに気づかされた。
セレナを待っていたのは多くのカメラと温かいスタンディング・オベーション。喜びとともにナーバスになるのは当然で、初戦ではトリッキーなプレースタイルのモニカ・ニクレスク(ルーマニア)相手に苦戦した。しかし今日はもういつものセレナで、世界ランク32位のザリナ・ディアス(カザフスタン)を6-2 6-0と寄せつけなかった。
「通常の精神状態に戻った感じ。昨日のオフはとてもリラックスできた。今日の試合に備えることができたわ」
対戦したディアスは昨年躍進した21歳の若手だが、2日前の対戦相手ニクレスクと比較すれば素直すぎるほど素直なテニスで、落ち着きを取り戻した女王を苦しめる要素はなかった。
「過去を蒸し返すためにここに戻って来たんじゃない」と言っていたセレナは、もう嫌な過去を振り払い、しっかりと前へ歩き始めている。 (Tennis Magazine/ライター◎山口奈緒美)
Photo: INDIAN WELLS, CA – MARCH 13: Serena Williams of USA celebrates winning a game against Monica Niculescu of Romania during day five of the BNP Paribas Open tennis at the Indian Wells Tennis Garden on March 13, 2015 in Indian Wells, California. (Photo by Julian Finney/Getty Images)