2015年の国公立大の最新志願状況が明らかになった。夕刊フジでは、東京大、京都大など主要65校の動向に注目。長く続いた「理高文低」の傾向から一転、文系の人気が回復しているという。今年のセンター試験は、学習範囲が広がった新課程で学んだ「脱ゆとり」世代が初めて受験し、思うように結果が伸びなかった受験生も少なくない。二次試験にどう臨めばいいのか。最新の入試動向を探った。
文科省が公表した最終日出願状況(2月4日)によると、東大は1万2288人で倍率4倍(前年倍率4・1倍)、京大は7993人で同2・8倍(同2・9倍)となった。
最難関大の動向に目立った異変はみられないが、国公立大の受験で顕著だった理系と文系の“人気格差”は縮まりつつあるという。
受験関連の情報分析に定評のある「大学通信」(東京)の安田賢治ゼネラルマネジャーは、「今年の最大の特徴は、文系人気の回復。景気回復の兆しが見え、『文系の就職も改善している』という認識が浸透したことが大きい」と指摘する。
文系の中でも、人気が高まっているのは法学部だ。東大は文I(法学部)が3・2倍(前年3・1倍)、文II(経済学部)が3・1倍(同3・1倍)、文III(文学部など)は3倍(同3・2倍)と、文Iのみ倍率が上昇。一橋大でも法学部の前期の倍率が3・5倍と前年の3倍よりアップし、人気ぶりが際立った。
多くの国立大の文系の中では、法学部が最難関。法学部は就職全般に有利と考えられているため、志望する受験生が多いという。
理系はどうなのか。今年のセンター試験は理科と数学で新課程の試験が実施され、浪人生が臨んだ旧課程との間で、学力差が浮き彫りとなった。
「理科では得点調整が行われたほか、共通問題が出された数学でも平均点に大きな差が出た。現役生はセンター試験の結果に不安を覚え、理学部、医学部、農学部などを敬遠する傾向がある。例外は工学部。募集人員が比較的多いため、受験生が流れている」(安田氏)
志願者数で躍進したのは、東京外国語大だ。倍率が6・7倍となり、前年の5・3倍から人気がアップした。文系人気に加え、今年から「地理歴史」科目の選択に日本史が加わり、受験生が受験しやすくなったことや、5年後に開催される東京五輪が背景にあるという。
受験生に、安田氏はこうアドバイスを送る。
「浪人生のできが良かったが、浪人生の数が少なく、受験全般の動向には影響しないという見方もある。センター試験の結果が思わしくなくても、ほとんどの人はできなかったということ。必要以上に気にしなくてよい」
気持ちを切り替えて、二次試験に臨むことが大切だ。
■主な国公立大学の志願状況
大学 募集人員 志願者数 倍率(暫定) 昨年の倍率
国立
北海道 2430 9088 3.7 4.2
弘前 1129 4773 4.2 4.5
岩手 846 2845 3.4 2.9
東北 1958 6388 3.3 3.3
秋田 739 3501 4.7 5.2
山形 1324 4515 3.4 3.6
福島 670 3029 4.5 5.2
茨城 1327 6658 5.0 5.0
筑波 1495 6121 4.1 4.4
宇都宮 700 2451 3.5 3.6
群馬 772 3085 4.0 4.0
埼玉 1440 5695 4.0 4.9
千葉 2089 9368 4.5 5.2
東京 3063 12288 4.0 4.1
東京外国語 703 4705 6.7 5.3
東京学芸 884 2954 3.3 3.7
東京工業 923 4269 4.6 4.7
お茶の水女子 381 1596 4.2 4.5
一橋 920 4111 4.5 4.3
横浜国立 1483 8085 5.5 5.7
新潟 1755 6227 3.5 3.4
富山 1408 7688 5.5 5.1
金沢 1549 4932 3.2 3.1
福井 698 3437 4.9 5.1
山梨 649 3347 5.2 5.3
信州 1611 7549 4.7 6.0
岐阜 1068 6642 6.2 6.1
静岡 1557 6807 4.4 4.1
名古屋 1733 4997 2.9 2.8
三重 1088 4855 4.5 5.0
滋賀 634 3504 5.5 4.6
京都 2846 7993 2.8 2.9
大阪 3180 10235 3.2 3.2
神戸 2317 9949 4.3 4.4
和歌山 780 3485 4.5 4.9
鳥取 936 4537 4.8 5.6
島根 872 4292 4.9 5.2
岡山 1752 5615 3.2 3.1
広島 2007 7019 3.5 3.7
山口 1518 6140 4.0 4.2
徳島 932 5150 5.5 5.8
香川 912 2895 3.2 4.1
愛媛 1338 4406 3.3 4.5
高知 701 3048 4.3 3.9
九州 2360 7612 3.2 3.4
佐賀 1053 5843 5.5 5.1
長崎 1263 4162 3.3 3.9
熊本 1460 4652 3.2 3.5
大分 823 4189 5.1 5.4
宮崎 819 5030 6.1 6.1
鹿児島 1661 5999 3.6 4.4
琉球 1330 5756 4.3 5.0
公立
札幌市立 121 498 4.1 3.8
秋田県立 265 1781 6.7 8.7
高崎経済 680 6202 9.1 9.2
首都大学東京 1248 7452 6.0 7.2
横浜市立 580 2169 3.7 5.3
名古屋市立 642 4068 6.3 6.8
京都府立 307 1555 5.1 5.2
大阪市立 1375 5837 4.2 4.6
大阪府立 1127 8087 7.2 8.0
兵庫県立 933 6506 7.0 7.1
県立広島 390 2330 6.0 5.9
北九州市立 885 4183 4.7 5.3
福岡県立 170 1220 7.2 5.7
※文部科学省が2月4日に発表した「国公立大学入学者選抜の志願状況」(最終日速報値)を基に夕刊フジが作成。国公立別に北から南への所在地順に主要大学を抽出。倍率は志願者数を学部等の募集人員で割った値。試験日が別日程の大学を除く